さらば、漢村田
Maroon5にSugarという曲がある。
観たことがない人はリンクを貼っておくので観て欲しいがPVでは結婚式にMaroon5がサプライズ登場して大団円という展開でとにかくハートフルな内容が展開されている。
そんな曲を東京ドームでしかも「村田修一」の登場曲で聴いた時は思わず笑ってしまった。
ーーー村田修一。
今日1人の偉大な選手が引退をしてしまった。「まだ出来た」だの「何処か獲る球団はなかったか」だのそんな野暮ったい話は置いておく。
2017年シーズンオフ、村田修一が巨人から戦力外の通告を受けた時に巨人のオフィシャルTwitterには「クビにする村田をまちがえている」などといったリプライが相次いでいた。
少なくともこれまでいわゆる巨人の「外様」されてきた人間にはみられなかった現象だ。
では巨人ファンにそこまで言わせる彼の魅力とはなんだったのだろう？
意外にうまい守備？時々思い出したかの様に打つ守備？
それもあるだろうが僕が考える彼の1番の魅力とはギャップだったと思う。
巨人入団1年目にはネットで「優勝受取人」と揶揄されるほどに目立った活躍も見せず挙句原監督（当時）から“途中帰宅”まで命ぜられる始末。
2015年にはフランシスコのミスでほくそ笑む（様に見える）村田の姿が抜かれたりもした。
他にも横浜時代引退試合で2度もやらかしてしまうなど彼の面白いエピソードには枚挙に暇がない。
一方でホームラン王も2度獲得、2013年8月に当時の日本タイ記録となる月間最多安打記録を達成。プロ入りから15年連続で二桁ホームランを放ったり、2016年CSの横浜戦でデッドボールを喰らった次の打席で決死の内野安打を打ってファンからの歓声を浴びたりもした。（その後代走の鈴木尚広が牽制死をしてしまうのだが…）
村田修一を観ていると浪人時代、ある英語教師が「完璧な子は実は恐れ多すぎて好きになる事は出来ない。でも、勉強できて運動できて性格も良い。でも唯一の欠点はその子はめちゃくちゃ臭い。こうすると君達もワンチャンあるんじゃね？って思うでしょ？要はギャップなんだよ」と言っていたのを思い出す。
つまり、村田修一の魅力はこのギャップにこそあったのだ。
チャンスでゲッツーを打ったかと思えばほんっっっとうにどうでもいい場面でホームランを打つ「検死官」
巨人ではプレッシャーの余りから試合前にえづいていたという事から付けられた「全自動棒振り機能付きゲロ袋」
こうした蔑称も彼の持つギャップが故のものであっただろう。
僕個人の思い出で言えば2009年のWBCで日本が優勝した後のドキュメンタリーでまだ未熟児だった長男のために頑張る姿を観て、でも無念の帰国をしなければならなくなったのをみてから応援する様になった。
もちろん彼に問題がなかったとは言い難い。某テレビ番組で「暇すぎて勉強できる」「ヒマー！」と言ったり日大から横浜に行く際に監督に向かって「大体自分は巨人が嫌いです。」と言いつつ巨人に行ってしまうダブスタ。噂によると試合中に監督室に寝転がってTVを観ていたりもしたらしい。
まぁそりゃあフロント首脳陣は好きになれねぇよなぁとしか思えない。
でも、2018年9月9日、独立リーグ栃木の引退試合に並んだ多くの現役野球選手からの言葉や花束。これは村田修一自身に魅力がなければなされなかったものだと思う。
「私は今日をもって現役を引退します。」
まだ早すぎる。でも野球ファンとしてお別れを言わねばならない「さらば、漢村田」
