最初のヤマ場
開幕して約2ヶ月が経過した。贔屓のチームはどうだろうか。「8連敗した」、「絶対的なエースが大不振で2軍落ち」、「可もなく不可もなく」、「怪我人続出で一時外野がいなくなった」、「16連敗した」etc.いろいろな事があったと思う。
もしかしたら今シーズン終わったと(特に大型連敗を喫したチームは)思っている人もいるかもしれない。
だがちょっと待って欲しい。というのも僕ははっきり言って5月までのゲーム差なんて殆ど関係ないと思っているからだ。
それは何故か。
まずひとつには残り試合数である。ここで両リーグの順位表を確認していこう。
セリーグは首位と最下位とのゲーム差が11.5ゲーム差、パリーグは8.5ゲーム開いている。
ゲーム差だけじゃなくてもチーム状態などで今シーズンはいい戦いはできないと思っているファンもいるかもしれない。
だが少し待って欲しい。「まだ」6月も始まったばかりである。今シーズンは143試合ある。単純計算でまだ後約90試合残っている。ここからいくらでも巻き返し可能である。
何故ここまで強く言い切れるか。理由は2つある。
ひとつ目はいわゆる「開幕ダッシュ」というやつはあまり信用が出来ない。
2006年の巨人は開幕ダッシュに成功したと言っても過言ではない。4月の時点で2位中日に4.0ゲーム差をつけての1位であった。当時小学生の僕は今年は貰ったなと思った。
ところが、である。その後巨人はあれよあれよという間に大失速。最終的には首位中日に23.5ゲーム(‼︎)も離されての4位に沈んだ。
もう一つ例を挙げる。2012年の巨人。あの時巨人は開幕から5連敗を喫し、5月終了時中日に2.5ゲーム差を離されての2位だった。当時の巨人は杉内、村田、ホールトンなどを補強しダントツの優勝間違いなしだと思っていたからこの当時随分と騒がれた。
しかし、終わってみれば2位中日を10.5ゲーム差引き離しての優勝を決め、日本一にもなった。
この2つの出来事で分かったことがある。それは4月、5月のチーム状態の良し悪しはたしかにシーズンに影響を与えるかもしれないが、それはあくまでも間接的なものであるという事だ。
いくら戦力が充実して開幕ダッシュに成功したとしてもここから先、特に勝負の8、9月にケガ人が続出してはお話にならない。
今はなんでこいつ使うんだというような選手の起用も現場では勝負の時期に向けて戦力を見極めているのかもしれない。
そう考えるとまだまだシーズン捨てたもんじゃないと思えるのではないだろうか。
データを挙げてみよう。
2016年、パリーグを制したのは日ハムだが、6月24日の時点では首位ソフトバンクと11.5ゲーム差をつけられていた。それをひっくり返しての優勝であった。
もう一つ、2008年、巨人が「メークレジェンド」と言われ最大13.5ゲーム差をひっくり返したシーズンがあるのだが、その最大ゲーム差をつけられた時はなんと7月8日の事である。
「そんなの奇跡だよ」と思っている人もいるかもしれないが、これは過去10年の間に起こったことである。その「奇跡」がまた起こったとしても何ら不思議ではない。
これが巻き返し可能であると考える理由のひとつ目である。
もう一つはこれからセパ交流戦が始まるからである。
そもそも交流戦は各チーム24試合しかない。それでも僕は4〜5月以上に大切な時であると思っている。何故か。それは交流戦の性質にある。
文字通りセパ交流戦はセリーグのチームとパリーグのチームが試合をする。
ということはだ。もしチームが勝ち、同一リーグのチームが全敗すれば、それだけでゲーム差を一つ広げる(縮める)事ができる。逆もまた然りだ。もしチーム以外の同一リーグが全勝すればそれだけでゲーム差は広がる(縮まる)。これが交流戦の面白いところだ。つまり、交流戦というのはボーナスステージにもトラウマになるステージにもなりうるのだ。
Wikipediaからの引用になるがここに面白いデータがある。
過去14回中交流戦で優勝した球団がそのままリーグを制したのは7回、つまり2回に1回は交流戦を制したチームがペナントを制しているのだ。
ということは、交流戦でいい闘いをすればまだまだ巻き返しが可能なのだ。
(まぁ裏を返せばここでつまづくと取り返しがつかなくなりかねないということにもなるのだが…)
今、チーム状況で頭を抱えている人も良い闘いをできていると思っている人も一旦リセットをして欲しい。そして、明日から始まるたったーされどー24試合の交流戦を第2の開幕だと思って欲しい。
何度も言うがまだシーズンは始まったばかりだ。この時期の順位はあてにしなくて良い。だが、交流戦が終わるとそんなことは言ってられない。
それだけこの交流戦というのはシーズンの行方を左右するだけの力を持っているのだ。