charles262510’s blog

主に野球。時々SMAP及びTEAM SHACHI。ごく稀にその他の事。

最高の球場

 今年の2月、友人と大学の卒業旅行でロンドンへ旅行にいった。その旅行の(あくまでも僕個人の)メインは、贔屓のトッテナム・ホットスパーの試合を現地観戦する、というものだった。

 スケジュールの都合上、トッテナムのホームゲーム(とはいってもまだ新スタジアムが出来ていなくて、ウェンブリーが仮のホームだったんだけど)は観ることができなくて、同じロンドンに居を構えるチェルシーのホーム、スタンフォードブリッジでの観戦となった。

 僕はあまり海外のサッカースタジアムに詳しくないから、事前にスタンフォードブリッジの情報をネットで調べた。どうやらスタンフォードブリッジが設立されたのは1877年のことだそうだ。1877年というと、日本では西南戦争が勃発していた年である。そんな前から設立されているのだから、中はかなりボロボロなのだろう-大した期待もせずに僕はスタンフォードブリッジに足を踏み入れた。ー甘かった。当然のことながらスタンフォードブリッジはなんども改修がなされているのだろう。コンコースはすごく綺麗だったし、ホットドッグやアルコールなどスポーツ観戦の友とも言えるフード・ドリンク類も充実していた。しかしなにより僕が感動したのはそのコンコースを抜け階段を上がった瞬間、一気に視界に飛び込んできた芝生の鮮やかな緑とそして、スタンドの青(チェルシーのチームカラーは青である)の対比であった。

 

f:id:charles262510:20190805220102j:image

この時の感動は今でもはっきりと覚えている。もちろん、古いが故の欠点もあった。たとえば僕たちが観た席はスタンドの一階の最上段で、これは僕が身長が高いせいもあるのだけれど屈まなければピッチの向こうまで見えなかったし、座席もドリンクホルダーがないので、僕はコーラをぶちまけた。

 それでも、このスタジアムが持つ魅力はそれらを補って余るものだった。

 

 それにしてもスタンフォードブリッジはあの場所に似ている。どこに似ているかと言うと、明治神宮野球場である。

 外苑前から徒歩5分、信濃町からは12分、千駄ヶ谷から15分と一等地に居を構える神宮球場の開場は1926年。これまたなかなかの歴史である。今話題のNHKができたのも、大正天皇崩御し、元号が昭和になったのもこの年である。

 

 そこから約93年。神宮球場はもちろん細々とした改修を繰り返しながらも、しかしそのスタジアムが持つ本質はずっと維持されてきた。

 例えば外のアーケード。これは(もちろん塗装は何度もされているけれど)1931年からずっと有るものだ。

つまり、ここは戦前最後の早慶戦も、大杉勝男のホームランも、荒木大輔フィーバーも、斎藤佑樹フィーバーもプロ、アマを問わず物語を見てきたのだ。ここを歩くだけでその時代時代に想いを馳せる事ができる。

「神宮球場 アーケード」の画像検索結果

 もちろん、歴史だけではない。コンコースから球場に出る瞬間の解放感は空が見える分、ドーム球場のそれとは比にならない。また、初夏もしくは晩夏に六大学野球を観るのも、ナイターでカクテル光線で色鮮やかなグラウンド上でプレーする選手たちをぼんやりビールやハイボールを飲みながら何かをつまみながら(僕のオススメは山田哲人ハイボールと銀だこ、ソーセージ盛りの組み合わせだ)観るのも最高である。夏の場合は花火だって上がる。なんでも出来る場所なのだ。

 僕はこの球場が大好きだし、最高の球場だとも思ってる。実際よく行く。

 しかし、それもあと数年のことだろう。

 というのも、神宮球場は建て替えられてしまうのだ。

 

https://www.sanspo.com/baseball/news/20190301/swa19030105050001-n1.html:embed

 

 このニュースは非常に悲しかった。単なる建て替えどころか場所まで移動してしまうのだ。建て替えによって先に書いた100年という歴史の空気感は確実に失われる。また今日のような神宮球場の雰囲気を取り戻すには同じだけの時間がかかるだろう。

 せめて同じところでアーケードくらいは残せなかったものかー。そんな事を言ってももう遅い。今の僕に出来るのはせいぜい毎年神宮球場に行き、その最後を看取ることくらいだろう。

 

 なんか最後はだいぶ湿っぽくなったが、伝えたいことはこれだけだ。みんな、神宮球場に行こうぜ。

 

f:id:charles262510:20190805215717j:image