charles262510’s blog

主に野球。時々SMAP及びTEAM SHACHI。ごく稀にその他の事。

輝く光を浴びて

 もはやなんと形容をすれば良いのだろう。凄いという言葉はあまりにも陳腐すぎる。

 昨日、読売巨人軍が5年ぶり37度目の優勝を果たした。坂本勇人主将以下、チームが良くまとまっていたと思う。何よりも恐るべきは監督、原辰徳だ。

 

 昨シーズン、高橋由伸前監督の辞任により球団史上初の3度目となる指揮を取ることになった原だが、僕はよく就任を決断したなと思った。というのも原にはあえて火中の栗を拾いに行く必要はまるでないからだ。原は今回の就任までに2007年〜2009年、2012年〜2014年の2度のリーグ3連覇を筆頭として、7回のリーグ優勝、3回の日本一、アジア一、WBC代表監督としても世界一に輝いている。

 

 2015年に原は辞任をしているが、チームとしてもう原の下ではこれ以上伸びないだろうな、というのが僕から見ても分かり、辞任というよりは勇退という表現の方がしっくりくるものだった。

 そう、原にはこれ以上監督を続ける必要がないのである。上記の実績を持ち、稀代の名監督として後はセカンドライフを満喫しても誰も文句は言わないだろう。

 しかしながら彼は二つのミッションを課せられて三たび現場に戻ってきた。

一つは四年連続V逸のチームの再建、そして優勝である。

 彼は今回全権委任監督として選手人事も、コーチ人事も、全てやってきたと言われている。

 まずはコーチ陣。今回のコーチ陣は宮本和知元木大介といった顔ぶれで組閣し、ヘッドコーチは置かなかった。この人事はタレント内閣とも揶揄されたが少なくとも元木の起用は大成功だと思っている。

 元木は試合前の円陣でチームのモチベーションをあげ、試合中はサードコーチャーとしてチームを引っ張った。このサードコーチャーというのは難しいもので、際どいタイミングでランナーをホームに行かせるというのがとても勇気のいることなのだ。しかし、彼はー少なくとも僕が見る限りー際どいタイミングで確実に回した。ちょっと無理かなと思うタイミングでも回した。これは壊れた信号機とも揶揄されたが、実際セーフになっていることが多い。すなわち、元木の判断でチームの得点になったという事が少なからずあったのだ。

 この起用をしたのも原である。もちろん物足りない所もあるのだろうが、原の言うところの「未来のジャイアンツ」を作るためという観点からすれば新米コーチ達も素晴らしいと言えるだろう。

 

次に選手。補強は言わずもがなだが今オフ一番の激震は内海、長野の放出だろう。ファンは怒り狂った。(僕もその時ブログを書いたので読みたきゃ読んでね)

僕もその時の方針に疑問を呈した一人だ。しかし、よくよく考えると原という男はそういう男である。仁志、清水、二岡とフランチャイズ選手をチーム作りの為にならないと見れば容赦無く飛ばす、そういう男だった。

 今回の両者もいて欲しいし思い入れもあるが今回の原のチーム作り(常勝ジャイアンツを作る)には若手の方がウェートが高いとそういう判断をした上でプロテクトを外したのだろう。

 実際今シーズンの巨人は4番の岡本は言わずもがな、勝利の方程式に加わった中川、優勝を決める一打を放った増田、パンチ力を見せた重信、某掲示板で「月刊セカンド」とも揶揄された若林、山本など若手の起用、活躍が非常に目立った。

  これらの選手は主に前任の高橋由伸時代に獲得されていた選手だ。この事実から一部ファン・プロ野球OBの間では「由伸が岡本などを育てたのだから優勝は由伸の功績で原は座りしままに天下餅を食っただけだ」的な論評も散見されるのだが、僕はそれにはクェスチョンマークをつけざるを得ない。

 というのも、昨シーズンまでの3年間を見る限り今年の原のような起用・戦術を由伸がするとは到底思えないのだ。もちろん由伸が岡本を我慢強く育てたという点は事実だろう。しかしそれが優勝に直結するわけではないという事を僕は言いたい。やはり、この優勝は原でなければなし得なかっただろう。

 

ところで、僕は常々嫌いな人間の種類としてダブルスタンダードの人間を挙げる。何故ならすぐに二転三転させるような奴は信用できないからだ。翻って原辰徳の今年のシーズン前の宣言を見てみると、

・2番丸

・捕手固定

・4番サード岡本

というものがあった。しかし実際はどうか

・2番丸→主に3番丸

・捕手固定→小林、大城、炭谷の併用

・4番サード岡本→レフトやらファーストやらサードを行ったり来たり

 

これである。これはダブスタではないのか。つまりお前は原が嫌いじゃないとお前自身がダブスタになるぞ。と思う方もいるかもしれない。

 しかしながら僕は原という監督は好きだ。そして上の3つはダブスタにすらならないと思っている。何故か。そもそも核の部分が原は変わらないのだ。よく原は「正々堂々と勝負」というようなフレーズを使う。つまり、原は正々堂々と持てる力を全て出す。それで負けたら仕方がない。という監督である。ここが変わらないのだ。つまり、真っ当な勝負をするためにはシーズン前の公約に拘泥する必要はないしそんなものは勝つためには必要のないものだと思っているのだろう。

 勝つために全力を尽くすーこの原の核がブレない限りは僕は原ファンであり続けるだろう。

  

 さて、原はひとまずセ・リーグ制覇という球団の至上命題を達成できた。しかし原にはまだもう1つミッションが残されている。それは「後進の育成」だ。先に由伸だったら今シーズンのような戦い方は出来なかったであろうという趣旨の事を書いたがそれは由伸が100%悪いというものでもない。前回の退任時、原は後進の育成をせずに長期政権を終えた。

 その点は由伸も大変苦労した事だろうと思うし、四年連続V逸の責任は彼だけにないと思っている。

 そういう訳で今回の原のもう一つのミッションは後進の育成だ。今回のコーチ陣が新米コーチと言われようがそうした面々で固めたのもそういう理由であろう。もしもこの先新米監督が壁に当たってもその時に原イズムを継承したコーチ陣たちがそれをサポートする。そうした意図があったのではなかろうか。

 もし仮にこれでもう一つのミッションを達成して後の監督も名将クラスにまでなったら…原の読売グループ内での立ち位置、長嶋茂雄以上になるんじゃない?

 

 ともあれ、セ・リーグ優勝おめでとうございました。