サッカー素人がみた19−20トッテナムホットスパー②
第1章→サッカー素人がみた19−20トッテナムホットスパー① - charles262510’s blog
2章 唯一無二
ジョゼ・モウリーニョがトッテナムの監督に就任する。このことはーリークがされていたとはいえーサッカー界に少なからず衝撃を与えた。なぜなら、トッテナムとモウリーニョをイコールで結びつける要素が何一つなかったからである。
トッテナムの会長であるダニエル・レヴィはシブチン・・・もとい倹約家で知られているーそもそも18−19シーズンの補強ゼロだって後述するエリクセンの去就だってこの人がもう少し柔軟ならよりマシな結果になっていたはずだ。一方で、モウリーニョは潤沢な資金によって整えられた豪華なタレント揃いのチームでタクトを振ることに長けている人である。馬が合うはずがない。モウリーニョはトッテナムに来た理由について、「このクラブについてミスター・レヴィ(ダニエル・レヴィ会長)が私に示した展望や選手とチームのクオリティが、私がここにきた理由の一つなんだ。それが私がここに来た主要な理由だ。」*1と言っていたが、水面下でどのような話し合いが行われたのだろう。
ー余談だが、モウリーニョのトッテナムでの肩書は”ヘッドコーチ”である。前任のポチェッティーノは”マネージャー”だ。どちらもニュアンス的には同じように感じるかもしれないが、前者は言うなれば”現場監督”、後者は”全権委任監督”を意味するのだそうだ。モウリーニョは割と補強とかにも口を出すイメージがあったが、”現場監督”の地位を受け入れたということは案外ウマがあったのかもしれない。
僕はといえば、モウリーニョの就任は大歓迎であった。前章で述べた実績に関しては言わずもがなである。また、確かに今のトッテナムはポチェッティーノの指導によって選手の実力が上がり、上位争いに顔を出すまでになった。しかし、是が非でも頂点に立ってやるという精神、いわゆる勝者のメンタリティがまだ備わっていないーそれはCL決勝の開始26秒でハンドによるPKから先制点を許し、そのまま意気消沈して負けたことからもわかるだろうー。モウリーニョはそんな勝者のメンタリティを十二分に分かっている。それを、トッテナムの選手たちに植え付けてくれることを僕は期待した。
モウリーニョには成果は上げるが3年目を迎えるとチームが瓦解する、という”法則”があるらしい。確かに、レアル・マドリードではイケル・カシージャスやセルヒオ・ラモスらと、マンチェスター・ユナイテッドポール・ポグバらと対立し、解任されたという経緯がある。しかし、ー今のートッテナムには幸か不幸かそこまでモウリーニョに歯向かうほどの我を持っている選手はキャプテンのウーゴ・ロリスやエースストライカーのハリーケインを筆頭にいないー唯一反抗しそうなダニー・ローズは冬にレンタルでニューカッスルに移籍をした。さようならー。そんなわけなので、モウリーニョには存分にトッテナムで辣腕を発揮し、是非トッテナムを末長くトップ争いができるようなチームに変えてほしいと思う。
ところで、僕はモウリーニョがトッテナムの監督に就任するにあたり、彼のことを知ろうとありとあらゆる媒体に目を通した。その結果、僕が感じたことは”モウリーニョって原辰徳みたいだなぁ”ということだ。この二人の共通点は①アジテーションが上手い②批判を恐れない③会見が面白いということだろう。
まず、①について説明する。モウリーニョはこれまで、チェルシー、インテル、レアル、マンUで指揮をとり、その全てで何かしらのタイトルをとっている。原辰徳も、巨人の監督としての実績の他にもWBCで世界一をとっている。どちらも「そりゃあれだけ戦力がいればね」と言われるが、戦力がいたところで監督に統率力や求心力がなければ勝てないのは堀内恒夫が証明してい・・・ゲフンゲフン。
ビッグチームにいるような人間はエゴイストばかりだ。そのエゴイスト達のベクトルを一つの方向に向けて、物凄い力を発揮させる。これが監督のー最もと言っていいくらいー重要な役割なんじゃないかと思う。
次に、②についてだ。まず、両者共に采配に批判は多い。原辰徳についてはつい最近も野手の登板が物議を醸したばかりだ。他にも内野五人守備などで批判がされたこともあった。一方のモウリーニョもいわゆる”バスを止める”戦術が”美しいサッカー”とは言えず、つまらないサッカーをするという点で批判がされているらしい。
この批判について個人的見解を述べるのであれば、プロスポーツの第一のーそして絶対的なー目標は勝つことである。そのために皆全力を尽くすのであり、それが時に奇抜であっても、時につまらなくても、最終的に勝てればそれに勝るものはないと思う。
最後に③についてだ。原辰徳もモウリーニョもマスコミを使うのがうまい。前者の場合は不甲斐ないピッチングをした選手に対し「ニセ侍」と評したり、「砂遊びは卒業しなければならない」と言って選手の奮起を促す。後者の場合は、自らを「スペシャルワン」と称したり、他チームの監督を「失敗のスペシャリスト」と評したりするなどし、自チームへの注目を集める。とにかく、両者とも今日は会見でどんなことを言ってくれるのだろうか、と人々をワクワクさせるのだ。
恐らくビッグチームを率いるにはこれらの要素は必要なんだろうな、と感じる。
そんなモウリーニョが就任してから、2019年の終わりまでのトッテナムは、CLの決勝ラウンド進出を決めた。そして、プレミアリーグでは8試合を戦い、5勝2敗1分の勝ち点16という数字を記録し 、一時は絶望的なように思えたCL圏内も狙える位置にまで上がってきたのだ。しかし、好事魔多し。この後トッテナムは2つの問題に頭を悩ませることになる。
第3章→https://charles262510.hatenablog.com/entry/2020/08/30/191216