charles262510’s blog

主に野球。時々SMAP及びTEAM SHACHI。ごく稀にその他の事。

レンガの家、広島カープ

「三匹の子豚」という話がある。知らない人は義務教育からやり直して欲しいが、要は手軽さ8:2コツコツよりも手軽さ2:8コツコツの方が後々いいよ的な教訓をもたらす話である。

一般論としては正しい。

 

その場しのぎでやった事や妥協したものにろくなものは生まれない。もしもスティーブ・ジョブズに1%でも妥協の心があればiPhoneはここまで爆発的なヒットはしなかっただろうし山本耕史だってあそこまで熱意を示せたからこそ堀北真希と結婚できたのだろう。

 

だが、この一般論が通じない世界がある。プロ野球の世界だ。プロ野球の第一であり、かつ不変の目標はそのシーズンの優勝である。

そのためにゆくゆくはチームの屋台骨になるであろう若手の起用には慎重になり代わりに補強などで凌ぐのだ。

まぁ補強はお手軽である。足りない穴をさっと埋めてくれる。

対して育成はコツコツ育てないといけないから大変だ。2008年に坂本勇人が台頭してから3年くらいは「坂本は打撃が良いんだけど守備がねぇ」と今では考えられない評価をされていた。そして今でもネットやメディアでは「坂本は原辰徳が辛抱強く起用した。」と言われている。

 

もともと広島カープは猛練習で知られる球団である。その甲斐あって名選手が続々と生まれてきた。結果「赤ヘル軍団」の異名を取り常勝軍団となっていた。

しかし、少なくとも僕が野球を観始めてからの広島はお世辞にも強い球団とは言えなかった。

コツコツ育成ができる球団がである。

なぜか。それは広島は補強をしなかったからである。

 

かつてプロ野球ではワラの家、すなわち補強が正義であるという時代が長らく続いた。FA制度が導入され移籍した第一号の落合博満以降、いわゆる「持てる者」の球団は(まぁ主に巨人だが。)育成もするが他球団である程度実力がある選手を獲得し、優勝への戦力とする。

これをされるとコツコツ育成をしてきた球団は厳しい。前年まで頼れる仲間だった選手がいなくなったばかりか今度は敵として出てくるのである。言うなればコツコツと土台を作ってきたレンガの家を奪われるようなものだ。広島も川口、江藤、金本、新井などの流出で旬な選手を次々と手放していった。

 

 

しかし、時代は変わった。

超一流選手はMLBに行くようになり、超一流選手の国内→国内の移籍は殆ど見られなくなった。そして、各球団も地域密着の方針を打ち出しはじめた。

こうなると広島は強い。コツコツ土台を作っても奪われる心配がないので安心して育成ができる。その結果育ったのが丸であり菊池であり田中であり…挙げていけばキリがない。

 

今、球界の一般論も「三匹の子豚」になりつつある。それを先導したのは間違いなく広島カープであろう。3連覇という目に見える結果も出した。

彼らの次なる目標は1984年以来の日本一である。ここまできて初めて「三匹の子豚」は球界の一般論となるであろう。