charles262510’s blog

主に野球。時々SMAP及びTEAM SHACHI。ごく稀にその他の事。

白鳥が羽ばたいた日。

1274日

 1274日。この日数が何の数字なのかを即座に言い当てられる人がいるだろうか。ピンと来ない人が多いだろう。では、その1274日の起算点が2017年9月22日だと言えば、あるアイドルグループファンの方々は思い当たる節があるのではないだろうか。そう、2017年9月22日はアイドルグループ”SMAP”の元メンバーであり、ジャニーズ事務所から独立をした稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾がファンクラブサイト「新しい地図」の立ち上げを公式に発表した日である。

 その日から数えて1274日目の今日、草彅剛が自身の主演映画”ミッドナイトスワン”で主演男優賞及び最優秀作品賞を受賞した。この映画は今現在も公開されており、さらには”追いスワン”なる造語もできるほど”静か”に、だが確かに広がっていった。

 

 この映画の内容に関しては多くの方がSNSで伝えており、僕もそれに概ね同意するので、そこに関しては詳述はしない。それよりも僕は、この受賞によって今までの”1274日”について考えたい。

 さて、1274日、言い換えると約3年半。この期間を短いと捉えるだろうか。それとも長いと捉えるだろうか。ファンでない方からすれば、独立をして3年半でこのような晴れ舞台に立っていることは短いと思われるかもしれない。しかし、ファンー少なくとも僕ーにとって、この3年半というのはあまりにも長かった。この間新しい地図の面々の地上波レギュラー番組はことごとく消滅。毎年1クールは確実に出演していた地上波の連ドラもすっかりご無沙汰状態になってしまった(2021年1月クールで香取慎吾がテレ東の連ドラに主演したが、2016年1月以来の連ドラであった)。

 この間彼らはインターネット番組に活躍の場を求め、また、映画や舞台にも積極的に出るようになった。しかし、多くの人ー特にファンでない方々ーにとって、その情報は入ってこなかったのではないだろうか。それも仕方がないことである。なぜなら宣伝

をする場所が与えられていなかったから。

 その原因とは何か。真相は分からない。ただ、事実としてファンでない人たちがー自発的に調べない限りー彼らの活動を知る機会が極端に減ったのは確かだ。

 今回受賞した”ミッドナイトスワン”も、他の優秀作品と比較するとわかると思うが、スポンサー、大きな映画会社はつかなかった。(CULENは草彅が所属している事務所。)

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 30年以上、そしてその大部分を”国民的アイドル”として過ごしてきた彼らがこの扱いを受けるのである。投げやり、自暴自棄になってもおかしくない。というか僕なら恐らくそうなる。しかし、彼らは違った。ー内心は分からないがーそのような素振りも見せず、新しいことに挑戦したり地道に仕事をこなしてきた。その結果が、今回のクチコミによる大ヒット、そして受賞なのだろう。今回の受賞に関して異論を挟む人はー恐らくー誰1人としていない。

 現代社会の風潮として、”効率”や”コスパ”が重視され、反対に”誠実”や”愚直”と言った言葉は軽視されがちな所もある。僕自身も前者をついつい意識してしまうところがあるが、今回の草彅の受賞は、後者の生き方も捨てたもんじゃないとそう思わせてくれた。


 「諦めたりしないで一歩ずつというか、たまに振り返ることもあると思うんですけど、またそこから少しでも進むと、何かいい事がある」授賞式のスピーチで草彅はこう語った。その言葉は、1274日間、様々なことを経験し、乗り越えてここまでたどり着いた彼だからこそ出せる重みと、説得力があった。