サッカー素人がみた19−20トッテナムホットスパー③
第3章 別れ
E「俺、この街を出ていくよ」
T「そっか」
E「もうこの街でやりたいこともないしさ、新しい環境でチャレンジをしてみたいんだ」
T「まぁお前もこの街に住んで長かったもんな。いつ出ていくんだ?」
E「今年の夏には出ていくよ。俺はスペインで勝負したいんだ。」
T「そうか。世話になったな。時には俺たちのことも思い出してくれな」
E「もちろんさ」
T「さて、ボチボチあいつがいなくなった後のことも考えないとな」
??「あの〜』
T「E?お前どうしたんだ?」
E「残る」
T「え?」
E「出ていけなかったから残る」
T「お、おう・・・」
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このシチェーション、どちらの立場でも気まずい。これが2019年の夏にトッテナムで起こったクリスティアン・エリクセンの移籍騒動であるーお分かりかと思うがEはエリクセン、Tがトッテナムだー。
別にエリクセンのみを悪者にするつもりは毛頭ない。今回の移籍の件では我らがシブチン会長、ダニエル・レヴィが移籍金を釣り上げた影響で纏まるモノも纏まらなかったという報道もあった。
ただ、このことがクラブ悪影響を与えたことは否めない。ハリーケインは19年夏の契約が纏まらなかった選手たちがいたことによるチームへの悪影響があったことを認めていた。ファンも結局「え?なんであいつまだいんの」的なムードになってしまった。エリクセン自身もステップアップを望む発言をしてしまった以上、トッテナムと契約延長という線はなかったであろうー実際、モウリーニョが就任した日にエリクセンはモウリーニョに対し冬には出ていく旨を告げていたというー。トッテナムも、フリーで移籍されるよりは冬に買い叩かれてでもいいから放出するしかなくなってしまった。結局、冬にエリクセンはインテルへと旅立った。エリクセンマネーが欲しかったクラブ経営陣、チームのステップアップをしたい現場、スペインで勝負をしたかったエリクセンの三者が誰も得をしない結果となってしまった。
先述のように、今シーズンのトッテナムはエリクセンは近いうちにいなくなることが目に見えていた。故に今シーズンのトッテナムに課せられたテーマの一つには”脱・エリクセン”というものがあったと思う。エリクセンの最大の特徴というのは”違いを出せる”ということだと思う。加えて昨シーズンのトッテナムの総得点のうち88%は孫興民、ハリーケイン、そしてエリクセンが関わっていた。ポストエリクセンを見つけられなければ得点力が大幅に低下することが必至という状況であった。
しかし、なかなか見つけることができなかった。その努力を怠っていたわけではない。開幕前には後任候補としてジオバニ・ロ・チェルソを獲得したし、ポチェッティーノもモウリーニョもエリクセンの序列を下げてベンチにいる時間を増やした。それでも、前者は怪我の影響もあってチームにフィットするの大幅な時間を必要としたし、後者は劣勢になり結局エリクセンを出さざるをえない状況になり、結局エリクセンが得点に絡んで勝利もしくは引き分けという試合が12月ーつまりエリクセンが移籍をする直前であるーに入ってもあった。
トッテナムのエリクセン依存はー仕方がないこととはいえー深刻だなぁと思った。とはいえ、期待の新戦力、ロ・チェルソが冬にチームにフィット。すぐにエリクセンクラスになることは難しくとも、着実に”違い”を作れる選手になりつつあり、モウリーニョ の覚えもめでたくなった。少なくとも、以前ほどエリクセンがいればなぁというような状況ではなくなった。
しかし、一難去ってまた一難。トッテナムは次なる問題を抱えることになる。