君がいるだけで。
昨日多くの球団がファン感謝祭を行なった。これにてプロ野球の行事が全て終了し、選手たちは本格的なオフシーズンに入る。一部を除いては。
「ストーブリーグ」と言われるくらいにはオフの移籍戦線は活発だ。目下の注目は広島の丸が残留するのか移籍するのか、オリックスの金子千尋はどうするのかといったところだろうか。
そんな中昨日埼玉西武ライオンズの炭谷銀仁朗が球団に対しFA権を行使して他球団で勝負する旨を伝えた。
炭谷に対して手を挙げている球団は読売巨人軍だから、実質的に炭谷の巨人入りが確定した。
これに対しネットや周りの巨人ファンの反応は「いらない」というものが多かった。
理由としては
・捕手は若手が多く、今更ベテランを獲得する意味がわからない。
・小林誠司をもっと起用しろ
といったものが多い。
ただ、僕の意見は違う。僕は巨人にこそ炭谷は必要である、と思う。
たしかに巨人には捕手がたくさんいる。しかし、巨人の捕手最年長は小林誠司である。彼はまだ29歳、来年でようやく6年目だ。
まずこれがおかしい。どういうことか。巨人にはそもそもベテランキャッチャーが多かった。特に加藤健、實松一成という2人の選手はあまり目立つことはないけれど、正捕手のバックアップ要員として長年巨人の捕手陣をバックアップしてきた。
なぜ彼らが重宝されたのか。それは長年の経験を買われてのことである。
2012年の巨人を例に挙げてみよう。この年の巨人は原監督が「このチームは慎之助のチーム」というくらいに阿部が神がかっていたシーズンであった。キャプテンで、4番で、キャッチャー。この三つの重責をこなしていたのである。しかし、阿部が144試合全てにフルイニング出場をしていたのかというとそういう訳ではない。阿部が死んじゃう。問題は、阿部がお休みの日の捕手をどうするかである。阿部が休むからといって勝負を捨てる訳にもいかない。そんな時に頼れるのが2番手捕手である。そしてその役割をこなしたのが實松一成であった。
今年日本一をとったソフトバンクホークスも「甲斐キャノン」甲斐ばかりが注目されたが、37歳のベテラン高谷も先発、途中出場でチームを支えた。セリーグチャンピオンの広島も39歳のベテラン、石原がジョンソンとバッテリーを組み、勝ち星を稼いだ。
現代の野球はキャッチャーの負担があまりにも大きい。だからこそ主力とベテランが両輪となって投手陣を引っ張っていく必要がある。
翻って今年の巨人はどうだったか。
昨年實松が戦力外を受けた時、巨人捕手は相当厳しくなると予想した。今の小林にベテラン捕手と正捕手の二足のわらじを履かせるのは流石に無理があると考えたからである。
そして実際どうなったのかについては野球ファンならわかるだろう。今年の巨人の捕手起用はほんっっとうにグダグダであった。
もちろん小林は良い捕手であるし、ソフトバンクの甲斐に勝るとも劣らないとも思っている。しかし、疲れはどうしようもない。
そこで炭谷というピースを考えてみる。彼は31歳と小林と2歳しか違わない年齢なれど、高卒で入団したのでプロでの経験年数は来年で13年目となる。そして、2013年、2017年のWBC日本代表に選出された経験も踏まえれば小林のことをしっかりと支えられる捕手になるだろう。もちろん年齢的には脂の乗った時期である。そのまま正捕手に定着ということも十分に考えられる。
炭谷銀仁朗獲得により巨人の弱点は補える。これだけで十分獲得に値する。
炭谷不要論に、阿部捕手復帰を挙げている人がいるが彼の復帰はさながら臨終は住み慣れた我が家で迎えたいおじいちゃんのようなもので、逆に彼が2番手捕手になった時の巨人は相当ヤバイ状況である。阿部は3番手捕手兼ファーストとして2019年原巨人を支えるでしょう。