【緊急惜別】常に9割のパフォーマンスを出した男
本来ならばこの記事はU18 アジア選手権雑感〜日本代表編〜になるはずだった。
事情が変わった。
3日前に自分なりの村田修一惜別の記事を書いた。
これで11月までは引退選手の事は書く事はないと思っていた。
今この記事を書いているのは2:40だ。いつも通り推しのラジオを聴きながらスマホを眺めるという安息の時間を過ごすはずだった。(追記:推しのラジオがあと2回で終わることが今日発表された。なんなんだ今日は。)
ところが、タイムラインにある選手の引退の記事を見かけ、書かずにはいられなくなった。
巨人の杉内俊哉が引退を決意したそうだ。まだ、本人及び球団からの正確な発表があったわけではないので、暫定的な言い方しかできないのだが、恐らく確定なのだろう。
僕はこの投手が好きだった。2006年のWBCの胴上げ投手、大塚晶則に「そんなフォームでよく投げられるねぇ」と言われ、本人も「やる気なーくやる気なーくを意識している」フォームから放たれる糸を引くような綺麗なストレートが好きだった。チェンジアップでタイミングを外されたバッターが空振り三振をしてしまうのを観るのが好きだった。キレのあるスライダーが好きだった。
若い頃は打たれた事の自分への不甲斐なさからベンチを殴打し、骨折をしてしまったというほど熱い魂を持っている選手だ。
それ以降あまり感情を表に出さなくなって丸くなったのかなぁと思っていた。
しかし、以前勝手に選ぶプロ野球名場面という企画でも2位に選んだ2011年のCSファイナルステージでの涌井秀章との投げ合いで杉内俊哉は降板時に涙したのだ。この時、杉内にある魂が変わっていないと気づき比喩的表現ではなく、本当に震えた。
僕が彼のことを本当にすごいと思っている所はまず、第1回〜3回の三大会連続で日本代表に選ばれている所だ。
当然日本代表は日本を代表するプレーヤーであることが最低条件だ。彼はそれを三大会連続でやってのけたのだ。第1回〜3回大会全てに選ばれた選手が彼1人なのもその難しさを物語っていると思う。
そして、日本を代表する先発ピッチャーである彼に与えられた役割は「中継ぎ」であった。3大会全てである。
そして不慣れであろう中継ぎとしての役割を完璧に果たした。
そして、シーズン中彼は常に9割のパフォーマンスを出せる所だ。これは持論だが、先発ピッチャーは10割のパフォーマンス、5割のパフォーマンスを繰り返す投手よりも毎試合7割5分のパフォーマンスを発揮する投手の方が信頼できる。なぜなら、長い143試合の中でベンチもファンも開けてみないとわからないパフォーマンスを出す選手よりある程度計算できる投手の方が安心感があるからだ。
ところがこの杉内俊哉という投手は7割5分出せばローテ入り8割出せばエース、8割5分出せばスーパーエースのところを9割も出せる投手なのだ。
実際巨人ファン時代の僕は杉内が先発するとわかった日は力まず気楽に巨人戦を観ることができた。
そんな投手もここ数年は股関節や肩の怪我に苦しみ二軍、三軍暮らしが続いていた。
噂だとそこで様々な投手にアドバイスを送るいわゆるコーチみたいな事をしていたらしい。
そして今回の引退報道である
もう現役としては長くないのは分かっていた。でも、もう一度マウンドであの緩いフォームから放たれる矢のような球を観たかった。松坂世代を代表する投手として松坂世代がまだまだ健在である事を示して欲しかった。
引退試合があるのであれば行きたい。