charles262510’s blog

主に野球。時々SMAP及びTEAM SHACHI。ごく稀にその他の事。

やむなき決断。

プロ野球の開幕日決まる

 昨日、5月25日にプロ野球の開幕日が6月19日に正式決定したと発表された。これについての感想は前々回僕がブログに書いたので今回は深く話さないが、よく6月開幕ができたなぁと素直に思う。これもひとえに各球団が絶対感染者を出してはいけないという制約を受けつつも、いつ開幕してもいいようにコンディションを整えなければならないという非常に難しい課題を各球団がこなした結果であろう。この点に関しては贔屓チームに関わらず拍手が送られるべきであろう。

 ところで、開幕日が決定したことでにわかにある議論が持ち上がった。それは、本当に甲子園は開催不能なのかである(筆者注:もちろんこれは甲子園に限った話ではないけれど、僕は高校野球以外の高校スポーツに関しては詳しくないので甲子園にかぎらさせて頂きます)。

 

 

  上記のツイートは要するに、「なぜプロ野球は再開するのに高校野球は中止になるのかということ」だろう。こういった意見について皆様はどう思うだろうか。僕は夏の甲子園開催中止は仕方がないことだと思っている。

高校野球は特別扱い?

 なぜ仕方がないと僕が思うかについて述べる前に、高校野球についてよく散見される意見について触れさせて欲しい。その意見とは「なぜ高校野球だけが特別扱いをされているのか」というものだ。

  確かに高校野球は注目度が高い。例えば、甲子園の大会期間中はプレーボールからゲームセットまで毎日毎試合NHKが全国中継をしていたり、毎晩熱闘甲子園テレビ朝日で30分程度の特集番組が組まれていたりしている点が挙げられるだろう。日本で野球と双璧をなすとも言われるサッカーでさえ、高校サッカーになると地上波では開幕戦と決勝戦以外はダイジェストでの放映となっている点を考えてもかなり異例の待遇だろう。その他にも甲子園は部活動の一環にも関わらず入場料(これは地区予選でも取っている)を取ったり国体ではなく甲子園が最高の舞台になっている点からも注目度の高さは窺えるかもしれない。

 そうした状況下では「なぜ高校野球だけが特別扱いされているのか」という疑問は多くの人が疑問に思うのも当然の事なのかもしれない。今回のコロナ禍においてもインターハイの中止と高校野球の開催中止の時期が異なった事でそうした声は大きくなっていた様に思う。

 

 もちろん僕だって、高野連を手放しで認めているかといえばそうではない。少し前までは炎天下の中で水分補給の時間すら取らずに試合を続行させていた(これは改善されつつある)り、いまだに球数制限の甘さについては批判をされたりしている。中でも僕が本当に許せなかったのは東日本大震災の発災からわずか12日後に当初のスケジュール通りにセンバツを開催した事だ。僕は当時中3で卒業式を終えたばかりだったが、当時球児の頑張りで日本を元気に的なスローガンが踊っていたがいくらなんでもそんな重いものを背負わされても困るよなぁと思った記憶がある。

 あの出来事は僕が根本的に高野連を信用できなくなるのには十分すぎるものであった。

 

 しかし、「高校野球だけがなぜ特別扱いされているのか」と言われているのにも少なからずの違和感を覚えている。まず、批判をする前に知っておいて頂きたいのはインターハイを運営する団体と高校野球を運営する団体が異なっているという事である。前者は「公益財団法人全国高等学校体育連盟(通称高体連)」、後者は「公益財団法人日本高等学校野球連盟(通称高野連)」である(どうして団体が別れたのかについては本旨から外れるので気になる人は各自で調べてください)。

 運営元が違えば大会についての方針もプロモーションの仕方も変わって当然だし開催について判断が異なっても当然ではないだろうか。つまり、「なんで高校野球だけが特別扱いされているのか」と問われても「そりゃ運営している団体が違うんだから当然でしょう」としか言いようがないわけである。例えば「他の高校生だって部活動ができないんだから我慢しろ」と言ってしまうのは単なる同調圧力なのではないだろうか。批判をするならば、高校野球をやるとどういう弊害が出てきてどういうリスクがあるのかをしっかりと明示すべきだった様に思う(もちろんしっかりとその点を踏まえて批判をされている方も大勢いたがそうでない人もかなり多かった)。

 

 

センバツ中止を考える

 だいぶ話が逸れた気がするが、本題に戻ろう。夏の高校野球中止についてだ。

 そもそも僕は以前、自分のYouTubeチャンネルでセンバツ中止については反対の意見を表明していた。

youtu.be

 センバツ中止に反対するのであれば夏の甲子園中止も反対しなければ筋が通らないでは無いか。そう思う方も多いかもしれない。

 だが、大前提として理解をしてもらいたいのはセンバツ甲子園は「出場校が決まっていた」のだ。だから例えば無観客にして試合前は必ず検温をするとか、試合後の整列での握手は禁止するとか、対策はいくらでも立てることができただろう。それに、当時はまだ緊急事態宣言も発令されていなかったのだ。どうにかしてできることはなかったものか。そう思ったから、センバツ中止には反対の意を表明していた。

 

夏の高校野球中止を考える

 翻って夏の高校野球である。これに関しては前述の様に仕方がないことだと僕は考えている。それはなぜか。「どう考えてもやれるビジョンが思い浮かばない」のである。 

 高校野球はあくまでも「部活」であることを忘れてはならない。こんなことをいうとお堅い教育者の様になってしまい本意ではないが実際問題としてこの春からの一斉休校によってどの学校も大幅に授業進度に遅れが生じている。単純に考えれば4月上旬から今まで約2ヶ月の遅れが生じているわけだ。学校教育過程を年度末までに終わらせようとするならば夏休みの返上も当然視野に入ってくる。そんな中で高校野球の地区予選を一回戦からできるとは到底思えないのだ。

 これを見て欲しい。これは激戦区・神奈川県の2019年のトーナメント表だ。

https://hiyosi.net/wp-content/uploads/2019/06/p190610p006.jpg

 見て分かる様に毎日の様に試合がある。通常このくらいの時期ならば夏休みに入るので、勝ち進んでも(そして甲子園に行っても)他の生徒と授業進度に大きな差が生じることはない。しかし、今回はその夏休みが返上される可能性がかなり高い確率であるのだ。それでも通常開催をする、と言ってしまうと「部活」である高校野球が学生の本分である「授業」の軽視を公に容認することにはならないか。これは(今の高校野球の実態がどうであれ)いいわけがない。

 運営面から考えても高校野球は夏休みの時期にやるからうまく運営ができているのであって、今回の様な事態の場合この日程は球児にも教員(基本的に各球場の運営は当番校の教員と球児が行う)にも負担は大きなものとなるだろう。

 

 そして、一斉休校で学校への登校が禁じられた球児たちが地区大会が始まる7月に向けて身体が作れるのかという疑問がある。約1ヶ月後にはもう炎天下のグラウンドで野球をしなければならないのだ。高校野球をやるのは寮があって休校にも関係なく練習ができた強豪校ばかりではない。その様な高校は果たしてベストコンディションを作れるのか。そこにも疑問が生じる。

 

 一斉休校は2月の下旬からだからセンバツ中止も同様のことが言えるのではないかという反論もありそうだが、センバツの場合は「春休み直前という時期」だったことと「既に出場校が確定していた」という二点を踏まえればセンバツ中止と夏の高校野球中止は別のものだという考えになるのではないだろうか。

 

代替案の検討

 一方で各自治体などから代替案としての地方大会の開催が検討されているという報道もある。これに関してはやらない理由はないだろう。例えば、当初予定をしていた甲子園閉幕までの土曜日、日曜日を使えば学業への大幅な影響はなく、そしてまた、日程的余裕があれば球児の身体への負担もそう大きくはならずに開催できるだろう。

 恐らくそこが現実的な落としどころではないだろうか。付け加えるならば仮に都道府県大会を開いたとしてもそれは(多少の越境はあれど)県を跨がない移動となるので感染リスクを気にする人々の批判も封じ込めるのではないだろうか。ならば個人的には無観客ではなく、観客も入れて欲しいと思う。

 

 今はやれなくなってしまった甲子園の中止を批判するよりもどうすれば球児たちが3年間やってきたことを出せる場所を用意できるかを考えるべきではないだろうか(書いていて思ったけど先に引用した上原浩治氏のツイートはそういう意図もあったのだろう)。 

 散々夏の高校野球の中止は仕方がないとは言っているものの、元高校球児として、今の球児たちの気持ちが少しでも晴れる様な舞台が設定されることを願っている。