charles262510’s blog

主に野球。時々SMAP及びTEAM SHACHI。ごく稀にその他の事。

義理を捨てた球団

2012年、読売巨人軍がシーズン五冠を達成した時、原辰徳は「このチームは慎之助のチーム」と評した。正捕手、四番、キャプテン三足のわらじを履いていたらそれも当然だろう。確かにそれはその通りである。

しかし、いくらキャッチャーでも投手陣まで束ねることは出来ない。では誰が束ねたのか?ーー当時選手会長だった内海哲也である。

 

ーーーーー内海哲也

祖父の内海五十雄さんが巨人に入団していたことから巨人入りを熱望し、高校卒業時にオリックスからドラフト1位指名を受けるもそれを誇示し、東京ガスから巨人に入団をした。背番号は五十雄さんと同じ「26」である。

かつて内海はインタビューで「巨人の背番号26はぼくのおじいちゃんから始まったんですよ。そして孫のぼくが26を永久欠番にする。内海ではじまり内海で終わらせたいんです。」と野望を語っていた。

2018シーズン終了時、内海の通算成績は309試合に登板をして133勝101敗2ホールドであり、獲得したタイトルは2007年の奪三振王、そして2011〜12年の最多勝の二回である。成績的にみれば良い選手であるが永久欠番になるには難しい成績である。

しかし僕は内海哲也永久欠番に値するだけの選手だと思っていた。

2004年に入団した内海は先輩たちの威圧感に圧倒されていた。振り返ってこう述べている。

“でも想像していたおとはまったく違う世界、例えるなら暗黒時代とも言えるような雰囲気が、そこにはあった。

 エースと呼ばれる先輩方は一国一城のあるじとしてそびえ、寄せ付けないオーラを放っていた。
若手が気軽に会話するなんてとんでもない話。常にピリピリした空気が漂い、恐怖すら感じた。
俗に言う派閥もあった。誰かと話すだけで「内海はあっちについた」とささやかれたりした。”(2012年優勝手記より)

2004年といえば、上原浩治高橋尚成工藤公康桑田真澄らがローテーションを張っていた頃の話である。そら怖いわ。と言う話である。僕が内海の立場でもビビる。

しかし、内海は懸命に巨人を変えようと試みる"慕っていた高橋尚成さんが抜けた2年前から、グアム自主トレのリーダーを引き継いだ。
あの頃に戻るのは絶対に嫌だ。自分が引っ張るんだ、と決意を固めた。

 年下の選手を名前で呼ぶことから始めた。名字よりうれしいだろうし、親近感が湧くかなと。
ちなみに「ゆうき」は今年、小山、江柄子、久米、古川と4人もいる。手の内も隠さなかった。
調整法、精神のコントロール、ロッカー室での振る舞い。見て学んでほしかった。聞かれれば何でも答えた。
練習での妥協も一切やめた。半分は自分のため、半分は後輩に見てほしいからだった。"

“新人でも誰でも遠慮せず、堂々と力を発揮できる環境になっているなら一番うれしい。

「内海城」はまだ平らな1階建ての城かもしれない。でも、階が分かれているよりよっぽどいい。
広いフロアにみんな一緒。「雑魚寝ジャイアンツ」で最高だ。”(同上)

今、ズムサタなどを観る人は「巨人の投手陣仲が良いなー」という印象を持っている人も多いかもしれない。その土台を作ったのは紛れもなく内海なのである。

また、内海はファンサービスも欠かさない人間であった。小学生の僕がジャイアンツ球場でサインを貰おうとしている時に、いつも内海はサインをしてくれた。そして僕が勇気を出して「この前の内海さんと高橋尚成さんの対談、めっちゃ笑いました。」というと彼は「ホンマか〜?」と受け答えをしてくれた。本当に些細なやりとりだったがめちゃくちゃ嬉しかった。

小学校を卒業してからはジャイアンツ球場にはあまり行っていないが、インターネットなどで「内海にサイン貰った!」などの動向を見るたびに「変わってないんだな」となんか嬉しい気持ちになった。

野球ファンで内海が嫌いだという人を僕は見たことがない。

スター選手が多い巨人においてこれは異例のことだろう。

2000年代の巨人を支えた凄みを感じさせない大エース、そんな彼に対して永久欠番という形で報いるのも悪くはないだろう。こう思っていた。

 

 

本日、2018年12月20日FAで加入した炭谷銀仁朗の補償としてその内海哲也埼玉西武ライオンズへ移籍することが発表された。

恐らくは来年FAであり、1年で巨人に戻ってくることが予測出来ること(実際に以前脇谷亮太が補償で移籍した後出戻りFAで巨人に戻った)、年俸1億円に見合った活躍ができるか分からないことなどを理由にプロテクトリストから外したのだろう。

 

しかし、いくらなんでも不義理がすぎやしないか。上記のように内海哲也は強い巨人を支え、今の巨人を作った選手である。内海が巨人に対してした事は海よりも高く山よりも深い。

いくら全盛期は過ぎたとはいえ、そのような選手に対してプロテクトをしないというのは一体どういう事なのか。

そしてこれはチーム内の士気にも関わってくるだろう。「あれだけやってきた内海さんですらプロテクトされないのか…」こう思う選手が出てきても何ら不思議ではない。さらに、投手陣のまとめ役も失ったのである。菅野にその役割を要求するのは流石に負担が過ぎる。また、ファンからの批判もすごい。球団はこれを予想しなかったのだろうか。予想しなかったとしたらあまりにもお粗末すぎる。

これ以上書くと乱文がさらに乱文を呼びそうなのでここらでやめておく。

 

最後に、内海哲也さん、プロ野球選手の中で1、2を争うレベルで好きな選手でした。新天地で是非頑張ってください!応援しています!

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