お前が打たなきゃ誰が打つ
呆れたとしか言いようがない。これが全てだ。
中日ドラゴンズ「お前」禁止問題である。
事の発端は与田剛監督が中日応援団に対してチャンステーマの一つでもある「サウスポー」の一節「お前が打たなきゃ誰が打つ」の「お前」部分に難色を示した事である。そして中日応援団に対して申し入れを行った。
これに対し中日応援団はシーズン途中ではあるが使用を中止にした。
異例のシーズン中の中止はどうやら「まだ使っているのか」というような圧力もあってのことらしい。
当初僕はこの件について仕方がないことではある、と思った。
この件についての中日ドラゴンズ応援団のツイートは以下の通りである。
【重要なお知らせ】
— 中日ドラゴンズ応援団 (@dragonsouendan) 2019年7月1日
この度、当団体で使用している「サウスポー」について、チームより不適切なフレーズがあるというご指摘を受けました。この件について球団と協議した結果、当面の間「サウスポー」の使用は自粛させて頂くこととなりました。
皆様には何卒ご理解、ご協力の程宜しくお願い致します。
ハッキリ言って首脳陣、すなわち球団から直々に「不適切なフレーズがある」とまで言われるというのは余程のことであり、誰もが納得できる理由があるのだろうと思っていた。
例えば一節をファンの一部が勝手に変えて差別的、侮辱的な歌詞に変えてしまった場合である。
この場合もまずは応援団が収拾に努めるべきだとは思うが、応援団ですらそれが出来なかった。故に球団から指摘を受けたのでやめた。
これなら理解できる。
応援にも節度は必要だし、そういったことでファンが離れていくのは球団としても止める価値があるからだ。
中日ファンではない球団が直々に申し入れをするのならば僕はこういう事情があったのであろうと推測した。
だから容認をしていた。
ところが、真相は先に述べたように「お前」というフレーズが原因であった。
こうなると話は変わってくる。
「お前」という言葉よりは名前で呼んでほしい。球団の理屈は分かる。
しかし、それで「サウスポー」という曲そのものまでも使用中止にしろというのは果たして妥当だといえるであろうか。
それはいくらなんでもやりすぎではなかろうか。
先にも書いたように直々に中止申し入れをするからにはそれ相応の理由が必要だ。
「お前」はそれ相応の理由と言えるだろうか。
この騒動は社会問題になりつつある。ワイドショーでも連日取り上げられており、他球団の選手にもインタビューが行われている。
これ自体チームマネジメントにおいて「不適切」なことではないだろうか。
選手は悪くないが首脳陣が(野球以外のこと)で世間から非難されている。
僕はまだ社会に出ていないのでわからないが、上司が仕事とは関係ない理由で社会から叩かれたらそれはモチベーションが上がるものも上がらないだろう。
現に中日は騒動以降3連敗を喫している。
これはチームにとってプラスとお世辞にも言えないだろう。「あれがあったから今がある」的な美談にもならない。
もうひとつ、これは中日ファンではない野球ファンの一意見として聞いてほしい。
昔中日にはチャンステーマ「狙い打ち」があった。これが諸般の理由で使用ができなくなり(これに関しては本当に仕方がない)「サウスポー」が使われるようになった。
中日には沢山のチャンステーマがあるようだが中日ファンではない僕からすれば「狙い打ち」亡き後の中日のチャンステーマといえば「サウスポー」であった。
つまり、中日は自ら中日といえばコレと言えるものを一つ捨てたのである。
僕自身応援しているアイドルグループが名古屋という事もあって中日には注目をしていたが今回の事で、萎えた。好きにしてくれって感じになった。
これがエンターテイメントの世界でもあるプロ野球球団の対応として本当に正しい事なのだろうか。
ここ2試合中日は幾度もチャンスを作ってその度にチャンステーマが流れたが当然「サウスポー」は流れない。
なんとも言えないやるせなさがそこにはあった。