charles262510’s blog

主に野球。時々SMAP及びTEAM SHACHI。ごく稀にその他の事。

サッカー素人がみた19−20トッテナムホットスパー①

序章

 色々あった19−20シーズンが終わった。前のシーズンで4位だったトッテナム・ホットスパープレミアリーグで16勝11敗11分勝ち点59得失点差14で6位。僕がトッテナムを応援するようになってから初めて、UEFAヨーロッパチャンピオンズリーグ(以下CL)の出場権を逃しーUEFAヨーロッパリーグ(以下EL)の出場権は獲得。本戦からの出場になるか、予選からの出場になるのかはFA杯決勝、アーセナルチェルシーの結果次第となるー、不本意な結果となった。

 そのCLはベスト16で敗退。前のシーズンではファイナルまで進んだことを考えれば、これまた不本意な結果といえるだろう。

 

 僕は今シーズンが始まるにあたってひとつ決めたことがある。それは、できるだけトッテナムの試合は全試合観よう、というものだった。僕はサッカーに関しての知識は全くと言っていいほどない。だから、その試合だけを観てトッテナムのチーム状態がどんな感じなのかとか、監督がやりたいサッカーというものがどんなものなのかがわからない。けれども、シーズンを通してみればーおぼろげながらでもーそういったことが掴めるのではないか、と考えたのだ。

 結果として僕はリーグ戦はーどうしても都合がつかなかった試合でも見逃し配信で観るなどしてー全試合フルタイムで観戦、CLもほぼー流石にふて寝をする試合が2試合あったー全試合フルタイム観戦、FA杯も数試合は観た。カラバオカップDAZNが中継をしなかったので観ることができなかった。

 そうした事を決めて観たシーズンだったが、結果として一つの時代が終わり、そしてまた新しい時代が始まる瞬間を目撃することができた。

 

 冒頭にも書いたが、今シーズンのトッテナムは色々な事が、本当に色々な事が起こったシーズンだった。不振、解任、移籍、故障、そして不振。それでも、最後には希望ーのようなものーが見えてシーズンが終わったように思う。そして、そんなシーズンを観たサッカー素人の僕はどう感じたのか、今回からそれを書いていきたいと思う。当然、サッカーに詳しい方から見たら間違っているところは多々あると思うが、その点についてはご容赦いただければ幸いだ。

 

 それでは、19-20シーズンを振り返ろう。

 

1章 誤算

 一体どこから歯車が狂ったのだろう。今シーズンのトッテナムは希望にあふれていたはずだった。昨シーズンリーグでは4位に入りCLへの出場権を手に入れた事、久々に選手を獲得しー昨シーズンのトッテナムは何故か選手を一切補強しなかったーしかもそれが期待の若手、ライアン・セセニョン、アルゼンチン代表ジオバニ・ロチェルソー余談だがこの選手がトッテナムに来ると分かった時、元サッカー部の僕の友人がこの選手は本当にいい選手だと言っていたーそして、クラブ史上最高金額でタンギ・エンドンベレを獲得できた事、クラブを去ると言っていたマウリシオ・ポチェッティーノが監督を続けた事、そして何よりCL決勝に進んだ事が大きかったと思う。

 ちょっと待て、優勝できなかっただろうと思われる方もいるかもしれないが、そこで優勝できなかったことで次のシーズンでさらなる飛躍を遂げるなんて話はよくある話だしー丁度17−18シーズンCL決勝でレアル・マドリードに負けたリヴァプールトッテナムに勝ちCL優勝したようにー、実際プレシーズンのアウディカップも優勝をした。

 

 一方、気がかりな点もあった。選手の契約問題だ。今シーズンで契約が切れるクリスティアン・エリクセンヤン・フェルトンゲントビー・アルデルヴァイレルトの3人はどうなるのだろうという問題があった。特に、エリクセンだ。移籍を示唆しておきながら契約がまとまらず、結局は残留。ファンも、チームも扱いに苦慮していたように思う。

 それでも、開幕のアストン・ヴィラ戦では3−1と勝利し、つづくアウェイのマンチェスターシティ戦でも引き分け。ニューカッスルには敗れたものの、アーセナルとの敵地でのノースロンドンダービーも2−2での引き分け、クリスタルパレス戦では4−0と快勝し、最高とまではいかなくても上々の滑り出しを見せていたはずだった。

 

 ところが、ここからチームは暗いトンネルに入っていく。レスター戦を1−2で落とすとカラバオカップでは3回戦で敗退。サウザンプトンには勝利をしたものの、CL予選対バイエルンミュンヘン戦ではホームにも関わらず2−7と惨敗を喫してしまう。試合終了の際はブーイングすら起こっていた。余談だが流石にふて寝をして観るのをやめた試合がこの試合だ。リーグ戦のブライトン戦では試合開始早々にキャプテン・ロリスが負傷による途中交代。チームも0ー3と敗北を喫した。

 僕の記憶ではこの辺りからポチェッティーノの進退問題が浮上してきたように思う。僕はー個人的にはーポチェッティーノとともにこのチームは成長してきたのだから、なんとかこの逆境を跳ね返して欲しいと願っていた。しかし、負の連鎖は止まらない。CLでは2連勝をしたもののそれはー言葉は悪いがー格下相手の勝利だし、肝心のリーグ戦ではそれ以降も勝てない日々が続いた。誤審による一発レッドにより独り少なくなった事が影響して追いつかれた試合もあったが、それでもレスター戦以降の試合ではリーグ戦で7試合を戦い勝ち点はわずかに7。開幕してから5試合の勝ち点を下回っていた。この時は負けなかった事が収穫と自分をよく励ましていた事を覚えている。そして、2019年11月20日ポチェッティーノの解任が正式に発表された。

 

 僕が友達の勧めながらもトッテナムを応援してきたのは1年ごとに強くなっているのが分かるから、というのが非常に大きかった。そのチームを作ったのは紛れもなくポチェッティーノだろう。そのようなクラブを象徴する監督が解任されたのはやはり僕にとっては寂しい限りだった。ファーガソンベンゲルのように長くクラブで監督をやらないかなぁと思っていた。

 一方で、長期政権の難しさを痛感したのもまた事実だ。名将と呼ばれる巨人原辰徳ですら二次政権末期ではその手腕に陰りが見えていた。その後三次政権ではまた手腕が輝いていることから、ポチェッティーノも少し休んでーどのクラブに行くのかはわからないがー、また、監督として輝いて欲しいなぁと思う。

 

 

 ポチェッティーノが解任された。僕は監督というものは求心力が一番重要になってくると思っている。少々采配に疑問を持ったとしても、実績で選手やファンを押さえることができるからだ。その上、ポチェッティーノは先述したようにトッテナムを押し上げた人物だ。だから僕は後任の監督に関してポチェッティーノ以上の実績を持っている人間じゃないと選手もファンも納得しないのではないか、と思っていた。

 後任には”あの男”が就任することが発表された。ジョゼ・モウリーニョである。

 

2章→サッカー素人がみた19−20トッテナムホットスパー② - charles262510’s blog

 

 

あくまで個人的な”TEAM SHACHI BE5T"

TEAM SHACHI、無観客ライブやるってよ

 7月28日、TEAM SHACHIが18:00より「TEAM SHACHI TOUR 2020〜異空間〜:SpectacleStreaming Show “ZERO”」を実施する。このライブの最大の特徴は、なんと言っても無料ー具体的にはYouTubeのTEAM SHACHI公式チャンネル、スペースシャワー公式LINEライブ、スペシャアプリーで観られることだろう。

 さて、このライブの見所はなんだろうか。ネットニュースなどを観るとこう書かれている。

同配信ライブは2020年2月よりスタートした「TEAMSHACHI TOUR〜異空間〜」の集大成であり、一方で無観客、ライブ配信でしか実現できない演出も盛り込んだ、今回限りのスペクタクルなパフォーマンスは必見である。“ZERO”と銘打たれた今回のライブから始まる彼女たちの進化と新境地に期待が高まる。

引用元:https://okmusic.jp/news/388378

 おそらくは今年やる予定だった”異空間ツアー”をベースにしてそこに無観客だからこそできる演出ーステージを使った”横”の演出だけではなく客席も使った”縦”の演出ーをするのだろうと勝手に推測をしている。

 

 ところで、僕がライブで好きな瞬間がある。それは自分の好きな曲をやってもらえた瞬間だ。生で「ああ、次はこの曲が来てくれたら良いなぁ」なんて思っているときにその曲が来たら、それはもうトリハダものである。

 と言うわけで、今回のブログでは僕がこれを書いている7月14日時点で個人的に好きなTEAM SHACHIーチームしゃちほこ時代も含むーの5曲を”TEAM SHACHI BE5T"と題して書いていこうと思う。

 

第5位 パレードは夜空を翔ける

 この曲は何故か毎度イントロが流れる度に泣きそうになる曲。なんと言うか、すごく綺麗な曲だ。印象に残っているのは2018年の"SYACHI SUMMER 2018"。この曲だけーだったように思うーダンサーの方をつけて男女の物語を表現していた。その時の世界観と豊洲pitを埋めたファン達のペンライトがすごくマッチしていて、美しかった。当時はまだファンクラブにも入っておらず、チケットを一般発売で買ったから観ていた場所は最後尾だったけど、この景色を見れるなら最後尾も悪くはないなと思った。

 

 

パレードは夜空を翔ける

パレードは夜空を翔ける

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第4位 Wake Up Up

 JUMP MANのカップリング曲。音源化されたものは2018年のツアーチケットを買った人しかもらえなかったと記憶しているが、それだけじゃもったいないと思うくらいの名曲だ。編曲はSMAPのfreebirdという楽曲を作詞作曲したシライシ紗トリ。僕はfreebirdも好きな曲だから意外なところで好きなアーティスト同士のつながりもあ流もんだなぁと思った記憶がある。

 「世界には七つの不思議があるというのに 七つの輝く海もあるのに 見ないわけにはいかない」「出発だ勇気が蒸気を吹き出すよ」といった歌詞もメロディーも聴いていて明るくなれる曲。一時期この曲をアラームに設定していたこともある。TEAM SHACHIバージョンでも聴きたいなぁ(願望)

 

第3位 ROSE FIGHTERS

 TEAM SHACHIに改名した時のライブで無数のピンポン球を降らせるというぶっ飛んだ演出をしたときに歌っていた曲。僕もニコ生で観て思わず笑ってしまった記憶がある。改名してから最初の曲というのはその後のグループの方針を示す上でも非常に重要な曲だと勝手に思っていたのだが、DREAMERとこの曲は十分すぎるくらいの回答だったと思う。

 この曲で僕が好きな歌詞は「時計の針とも手を繋ごう」という部分だ。時間は待ってはくれない。それでも手を繋ぐ=仲良くするという発想は純粋にすごいなぁと思った。誰が作詞をしたんだろうなぁ。

 

 爆笑問題の太田はここぞという場面で気合を入れたい時にはピョン吉Tシャツを来ているそうだ。僕にとってこの曲はピョン吉Tシャツみたいなものだ。

ROSE FIGHTERS

ROSE FIGHTERS

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第2位 colors

 僕が文化祭に行く前からーつまりはTEAM SHACHIのファンになる前からー好きな曲だ。colorsにまつわる2016年武道館のエピソードはー僕がファンになったのは2017年11月のことだからもちろんリアルタイムでは体験をしていない。でも、良いエピソードですよね。リアルタイムで体験をしてみたかったですー何度読んでもトリハダものだ。

 でもそれを差っ引いても良い曲だと思う。個の大切さと他者の尊重。こういったテーマで人の心を動かせる曲というのはそうそうないと思う。個人的には”世界にひとつだけの花”以来だ。

 

colors

colors

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第1位 JUMP MAN

 僕をハマらせた原因第1位でもある曲。僕はいつどんな時に聴いても、とにかく明るくなれる曲を好んで聴く傾向にある。その点につきこの曲は本当に明るくなれる。2018年のZepp東京以来この曲を生で聴けていないけれど、また聞けると良いなぁ。

 

JUMP MAN

JUMP MAN

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終わりに

 以上、あくまで個人的な"TEAM SHACHI BE5T"でした。上記5曲のうち何曲やってくれるのだろう。それは神のみぞ…いや、TEAM SHACHIのみぞ知る、といったところだろうか。どんなライブになるのだろう

今から楽しみだ。とにかく、2週間後を楽しみに待ちたいと思う。

 

2020プロ野球開幕直前だしシーズンを展望してみよう③〜パリーグ順位予想編〜

パリーグ順位予想

 前回はセリーグの順位予想について書いた。*1今回はパリーグについて予測をしていく。

 順位予想に入る前に今シーズンのパリーグについて述べていこう。まずは日程。開幕戦を除いて8月下旬までは同一チームと6連戦を同じ場所で行う。先発ローテーションが6人いても、確実に同一チームと対戦をしなければならない。先発投手の得意・不得意という概念は一旦捨て去らなければならなくなるだろう。

 また、今シーズンのパリーグセリーグとは異なり、クライマックスシリーズ(以下CS)は行われる。しかし、通常のCSとは異なり優勝チームと2位チームとの対戦(方式は通常のファイナルシリーズと同じ)のみにとどまる。パリーグの場合は2位に入れば日本シリーズに出場できる可能性がある。そうなるとセリーグとは戦い方がだいぶ異なってくるだろう。こちらも監督の運用能力がこれまでのシーズン以上に大切になってくる。

 それでは順位予想をしよう。

 

1位:西武

2位:ソフトバンク

3位:日本ハム

4位:オリックス

5位:楽天

6位:ロッテ

 

 以上のようになった。 以下、理由について簡潔に述べる(注 セリーグと異なりパリーグはキーマンについての言及はしません)。

1位:西武

 僕は短期決戦においては投手力がとかく大切だと考えている。打線は水物という言葉があるように、投手力と打力を比べると投手力の方が波が少ない。今シーズンは120試合という少なさだから当然に投手力が大切になってくると思うのだが、この球団だけは別だ。確かに投手力は高いとは言い難い。しかし、それを補って余りある程の打力がある。加えて今年は開幕が遅れたことによりどこの球団も投手の調整が不足しているように見える。そうなると、抜群の破壊力を持つ西武が一歩前に行くのではないだろうか。

 

2位:ソフトバンク

 総合力で言えば12球団の中でも群を抜いているだろう。しかし、今シーズンに限って言えば、バレンティンは獲得したものの、デスパイネ・グラシアルのキューバ人コンビは来日の目処すら立っていない。内川・千賀は開幕には間に合わない。そうなってくると厳しい戦いになるのではないだろうか。異常な勝負運を持つ工藤監督がどう言った運営をしていくか。それに期待したい。

 

3位:日本ハム

 昨年進退伺いを出した栗山監督は結局続投。気づけば連続年数は12球団の中でもナンバーワンになった。外野陣は12球団屈指。あとは清宮・野村が覚醒をすればかなり面白いチームになるのではなかろうか。

 

4位:オリックス

 なぜかこのチームは人気がない。解説陣も安定の最下位予想をする人が多い。だが、いうほどこのチームは悪くはないと思う。先発の二枚看板、山岡・山本と4番の吉田正という核となる選手はいる。課題は抑えくらいだろうか。増井に安定感が出てくれば、パリーグのダークホース的存在になりうるだろう。

5位:楽天

 楽天は岸の離脱が痛い。そして昨年からどことなくきな臭い匂いも感じる。嶋の自由契約とか平石前監督の解任とかあぁいうことをして選手のモチベーションは上がるのかねぇ。

6位:ロッテ

 若手に良い選手はたくさんいるが、覚醒までにはもう少し 時間がかかりそう。あとは鳥谷だ。明らかに状態は良くないのに開幕一軍。これは吉と出るのか凶と出るのか。おそらく後者だと思うなぁ。

 

総括

 なんやかんや色々あったプロ野球もいよいよ明日開幕だ。もちろん、まだまだ満員の大観衆という状況からは程遠いけれど、それでも、久々のプロ野球を僕は心から楽しんでいきたいと思う。

 あとは、コロナの第二波が来ず、日本シリーズまでシーズンを完走できることを祈るしかない。2020プロ野球はもうそこまできている。

 今年は1試合でいいから生で観にいきたいなぁ。

 

2020プロ野球開幕直前だしシーズンを展望してみよう②〜セリーグ順位予想編〜

 セリーグ順位予想

 前回は今シーズンの展望について書いた。今回と次回はそれを踏まえた上で順位がどうなるかを考えていきたいと思う。今日はセリーグについて。

 まずは結論予想から書いていこう。僕の予想は以下の通り。

 

1.巨人

2.DeNA

3.阪神

4.広島

5.中日

6.ヤクルト

 

このようになった。偶然にも昨年と同じ順位になると予想した。以下、理由とチームのキーマンについて述べていこうと思う。。

 

1.巨人

 まず、理由について話す前に巨人のコロナ対策については称賛をしなければならないだろう。巨人はこのコロナ禍において都に対し寄付を行ったり、ファンの為にYouTubeの更新やインスタライブを行った。いくら親会社がマスメディアであるとは言え、少し前の巨人なら考えられなかったことだ。計3名の感染者が出たものの、その後の対応は満点とはいかないまでも十分な対応であったと言える。少なくとも、僕の中では野球賭博以降抱いていた巨人へのイメージはだいぶ改善された。頑張ったチームが報われる世界であって欲しい。

 

 さて、本題に入ろう。まず、前回のブログで書いたように、今シーズンは通常のシーズンとは異なる*1

 そうなってくるとモノを言うのは監督の采配力だ。この点につき、セリーグでは原辰徳の右に出る者はいないだろう。彼の勝負への嗅覚は凄いを通り越してドン引きさえする時が多々ある。もちろん、戦力についても秀でている。菅野、坂本、丸、岡本については何の心配もいらないだろう。ここへ来て捕手陣の争いも熾烈になってきた。昨年はバックアップメンバー(特に坂本)に不安があったものの、今シーズンは湯浅などの若手が台頭しつつある。昨年離脱した吉川尚輝も今シーズンは今のところ問題なく動けている。昨年引退した恐怖の代打阿部の代わりには陽岱鋼中島裕之が控えている。

 一方で懸念は外野陣だろうか。涙の支配下登録モタは弱点が浮き彫りになり二軍へ落とされた。昨年のワールドチャンピオンの一員、パーラは守備はいいがイマイチ爆発力に欠ける。亀井は高齢でいつ離脱をしてもおかしくない。そうなってくると外野はどうなるのだろうか。石川慎吾はフル出場をするにはイマイチ迫力に欠ける。巨人の優勝には外野の安定が不可欠であろう。

 

キーマン:小林誠司

 僕は大城ファースト、小林捕手派なので小林誠司には頑張って欲しいと思っている。オープン戦では中島裕之の調子が良かったが彼はもうベテランだ。フルシーズン出る体力があるかどうかは疑問である。そうすると中島代打、大城ファースト、小林捕手が1番ベストと言えるのではないだろうか。その為には小林の打撃向上は不可欠であるが…

 

2.DeNA

 僕は試合数が短い場合モノを言うのは勝利の方程式がしっかりしているか否かだと思っている。この点につき、DeNAは三嶋やパットン、山崎康晃などブルペン人が充実しており巨人の対抗馬になりうると言えよう。というか、優勝するのはこの2チームではないかと思っている。

 懸念事項はラミレス采配と筒香の穴だろうか。

 ラミレス采配に関しては時々見る者の度肝を抜く采配を払う時がある。彼は原辰徳を尊敬しているそうなので彼にインスパイアされた面もあるのだろう。しかし、僕の中は定理として、「コピーはどこまで行ってもオリジナルを上回らない」というものがある。要は采配力で言えば原の方が上だと思っているのだ。果たしてラミレスはオリジナルを超えられるのだろうか。

 

キーマン:佐野恵太

 これはもう一つの懸念事項、筒香の穴にも直結するが、彼は筒香の後を継ぎ、DeNAのキャプテンと4番になった。昨年も代打で数多くの結果を残してきたが、果たして4番として結果は残せるだろうか。

 

 

3位.阪神

 これも同様の理由。抑えの藤川球児がしっかりしている分取りこぼすことはないだろう。一方で誰が藤川球児までに繋げるかという問題がある。ピアーズジョンソンはMLBは移籍をした。この点が上位2球団との差に繋がると思う。

 また、打線の迫力にも欠ける。ボーアは練習試合で一瞬火を吹いたものの、左投手に弱いことが露呈している。サンズに至っては2軍落ちだ。相変わらず外国人野手の補強には難がある。

 

キーマン:大山悠輔

 僕の中ではかなり不遇なイメージが定着してしまった選手。阪神の右打者では長打を打てる貴重な存在だが、今シーズンの起用法がまだ定まっていないように見える。サードで固定した方が良いと思うんだけどなぁ。

 

4位.広島

 昨年はタナキクマルからマルがいなくなりタナも大不振。鈴木誠也が奮闘していたが一方でバティスタがドーピングで出場停止と、どうも歯車がかみ合わないシーズンだった。それを象徴するかのように連勝連敗を繰り返し、4位。16年〜18年に3連覇をしたような強さは影を潜めた。

 今シーズンも中々苦労しそうではある。佐々岡真司が新監督に就任したもののオープン戦、練習試合での成績は落ち込んだ。抑えもこれといった選手がいない。大瀬良大地や森下暢仁といった先発陣や鈴木誠也と言った核となりうる選手がいることから大崩れすることもないだろうと予想。阪神とAクラスを争うことにはなるだろう。

 

キーマン:  森下暢仁

 僕はかれこれ5年位六大学野球を観てきたが、彼ほど完成されていた投手はいなかった。そんな選手がプロに入ってどうなるのか。非常に楽しみである。

 

5位:中日

 昨年もあと一歩でCS進出というところまでは行った。与田監督もーお前騒動は置いといてー1年目でよくやったと思う。ファームでは石川・根尾が覚醒の兆しを見せている。それでも今シーズンは5位に予想した。それは何故か。やっぱり抑えだ。岡田俊哉は明らかに抑えに向いていない。それでも抑えを任せるのだそうだ。果たしてこれで良いのかなぁ。

 

キーマン:柳 裕也

 昨年もキーマンに指名したが今年もやはりキーマンだ。大野と柳の二本柱ができればある程度計算ができる試合が増える。やはり強いチームにはローテの柱が最低でも二枚は必要だ。練習試合の内容が気になるけどまぁ心配はいらないでしょう。

 

6位:ヤクルト

 昨年圧倒的最下位だったヤクルトは今年も6位の予想。通常最下位のチームが巻き返すためには前年の戦力+αが必要なのにも関わらず、あろうことか、4番のバレンティンが移籍をしてしまった。すなわち、ヤクルトはバレンティン+αが必要なのだ。しかし、それに該当するような戦力はいるだろうか。…

… 

そう、中々思い浮かばないのである。新外国人のエスコバーバレンティンタイプの選手ではない。しかもバッティングの名伯楽、石井琢朗は巨人へと移籍をしてしまった。打力も多少落ちるだろう。投手陣も壊滅的だ。さぁ、どうするんでしょうねぇ。

 

キーマン:高津臣吾(監督)

 新監督にとっては中々厳しい船出だ。それでも二軍監督を務めていただけに選手の特徴などは頭に入っていると思う。生え抜き選手を駆使して僕の下馬評をひっくり返して欲しい。

2020プロ野球開幕直前だしシーズンを展望してみよう①

いよいよ

 いよいよ、である。今週金曜日、6月19日に新型コロナウイルスの影響で延期になっていたプロ野球が開幕する。長かった。とにかく長かった。開幕してからしばらくは無観客でやる事が決定しており、最初は多少盛り上がりに欠けるかもしれないがそんなことはこの際どうでも良い。とにかく、真剣勝負が観れる。この事実だけで多くの野球ファンは血湧き肉躍っているのではないだろうか。もちろん僕もその一人だ。

 とは言え、この時期に開幕するのだから無観客以外にも様々な”変化”がある。今日、6月15日にプロ野球の全日程が発表された。通常は143試合の試合日程が120試合となり、パリーグに至っては8月下旬まで6連戦が同一球場での開催となっている。その他、セリーグクライマックスシリーズ(以下CS)の中止を、パリーグは1位と2位の対決(3戦先勝。1位チームには1勝のアドバンテージ)のみの実施を発表している。*1

 果たしてこれがシーズンにどのような影響を与えるのか。本日はそれを考えて行こうと思う。

 

開幕ダッシュが勝負を決める?

 昨年の今頃、僕は一本の記事をアップした。*2

 詳しいことはリンク先の記事を見ていただきたいのだが、要するに開幕ダッシュに失敗したところで交流戦以降の方が圧倒的に大切なのだからそこまで気にする必要がない、ということを書いたのだがー実際にセパ両リーグ共に優勝したのは交流戦前まで3位だった巨人と4位だった西武だー、今シーズンに関しては全く話が違ってくる。

 僕は今年は”開幕ダッシュを決めたチームがそのままシーズンをせいするのではないか”と考えている。

 それは何故か。まず第一に先に述べたように今シーズンは120試合しかない。試合数が少なくなるのだから、1試合1試合がより重くなるのは当然のことだ。そうなると最初に勢いづいたチームがそのままの勢いでゴールテープを切る可能性がより高まると思う。

 第二に今年は交流戦がない。つまり、同一リーグの他チームがつまずいて自チームだけが勢いづくという事ができなくなってしまうのだ。そうなると差はなかなか縮まらない。今シーズンはこの点が明暗を分けそうな予感がする。

 

問われる手腕

 ここまで読んだ方の中にはじゃあCSみたいな短期決戦の戦い方をすれば良いのではと思った方もいるかもしれない。だが、120試合という試合数はそれができるほど少ない試合数ではないのだ。例えばマシンガン継投などはそうそう簡単にはできないであろう。というわけで今シーズンは監督の手腕も大切になってくると思う。この場面は勝負どころなのか否かや今日の試合は仕方ないとあきらめをつけて早々に主力を引っ込めて明日に備えるといったことができるか否かも鍵となってくるであろう。

 そのことを踏まえつつ、次回以降は順位予想をしていきたいと思う。

プロ野球コロナ狂想曲

激震が走った日

 2020年6月3日、プロ野球界に激震が走った。巨人が当初予定されていた西武との練習試合を急遽中止したのだ。マスコミはそれについて巨人の中からコロナウイルス陽性反応を示した選手が出た為だと報じた。

 せっかく開幕に向けて光明が差したのにまたしても振り出しに戻るのか。多くの野球ファンが心配した。

 ところが、その後事態は奇妙な方向へと進んでいく。まず、巨人が練習試合を中止にした理由について、6月2日の西武との練習試合「後」に行ったPCR検査で坂本勇人、大城卓三の両選手がPCR検査で「微陽性」を示した為だと発表をしたのだ。

 この発表は多くのプロ野球ファンに突っ込まれてしまった。大きくまとめると以下のようになるだろう。

①どうして2日の試合前に中止を発表しなかったのか

②そもそも「微陽性」ってなんだ。

 確かにこの2点は振る舞いとして違和感があるように思える。今回はこの2点について考えてみたいと思う。 

 

①どうして2日の試合前に中止を発表しなかったのか

  コロナ感染者が巨人から出たのではないかと噂されていたときに多くのファンが心配していたことの一つとして、「え?ライオンズの選手は大丈夫なの?」というものがあった。そしてその心配は感染者が2日に出場をしていた坂本と捕手の大城であったことから余計に大きくなった。

 

 そもそも野球はフィジカルコンタクトが多いスポーツではないがそれでも多少なりとも接触が生じるスポーツだ。その中でもキャッチャーというポジションは打者との距離も近く、一番相手チームと接する機会が多いポジションと言える。そんな大城が陽性と発表されたのだから、西武の心配をするファンがいるのも至極当然のようには思える。

 だからこそ「どうして2日の試合前に中止を発表しなかったのか」という声が上がるのも当然だろう。何も中止にしなくても、少なくとも坂本と大城さえ出場させなければ、西武の選手に対するリスクはかなり減らせたはずだ。

 この問いに答えるためにはまずは両選手の感染発覚の経緯を振り返るべきだろう。

 まずは5月27日、巨人が選手、スタッフ総勢約220人のうち、希望する者に対して対し「独自」で抗体検査の実施を発表。これは大学医学部の研究に協力という形で行われたものだ。

news.yahoo.co.jp

 その検査は5月29日〜31日にかけて行われ、6月1日にうち4名に抗体が確認された。そこで6月2日の夕方に4名がPCR検査を受けたところ、坂本、大城の両名の陽性が確認されたのだ。

  つまり、坂本、大城に関して言えばやらなくてもいい検査を受けた結果陽性反応が出てしまったのだ。6月1日時点での医学見地の立場を受けて出場したことに対して球団及び選手が非難されるのはあまりにも酷ではないだろうか。

 ①に関して言えば巨人の判断は責められないと僕は思う。

②そもそも「微陽性」ってなんだ。

 次に②に移ろう。僕はこれに関しては巨人のミスだと思う。

 そもそも「微陽性」とは、極めて陰性に近い数値だが陽性反応が出てしまったということをさすらしい。僕もコロナウイルスで実施されるPCR検査について調べた事があるのだが、PCR検査の場合だとウイルスの死骸にも反応をしてしまい陽性反応となる事があるそうだ。それを専門家は「微陽性」と定義づけた。

 恐らく、「微陽性」と名付けた専門家も専門用語を使わずにわかりやすく伝えるためにそういう言葉を選んだのだろう。要はファンを安心させたかったのだと思う。だから巨人もその言葉を使って発表をした。

 しかし、これは大きな間違いだと考える。少なくとも6月2日時点においては「微陽性」なる言葉は一般的ではなかった。この言葉が余計にファンを混乱をさせたように思う。これは僕の私見なのだけれども、一般人に伝わるような努力をしないで簡単に新しい言葉を作るというのは知的誠実さにかけるのではないだろうか。これによって”何か”を隠しているのではないかという印象をファンに与えてしまった(僕は観ていなかったのだけれども、この言葉の意味について議論をしているテレビ番組もあったらしい)。

 少しでも疑わしい事があるとファンは一気に不信に陥ってしまうことは想像ができたはずだ。もう少しうまい言葉の選び方はできなかったものかと考えてしまう。

 

騒動の先に

 ①②を踏まえた上で個人的な意見を言わせてもらえれば巨人の対応は悪くはなかったと思う。少なくとも報道を見る限り巨人の対応がまずかったのは「微陽性」だけだ。これに関しても前述のように専門家が用いた言葉を引用しただけだ。専門家のお墨付きの「甘い果実」に飛びついた巨人をそこまで責めることはできるだろうか。

 一方で気になるのはNPBの対応だ。巨人は「独自」で抗体検査をした結果このような事態を招いた。もし巨人がこのような対応を取らなければ今回の騒動はなかったであろう。以前、僕はコロナ禍におけるプロ野球の対応に関して評価をする記事を書いた。

charles262510.hatenablog.com

 今もその評価に変わりはない。ただ、選手が感染しているか否かという観点からの検討は欠けていたように思う。NPBは6月8日に12球団全選手にPCR検査の実施をすることを発表した。

news.yahoo.co.jp

 しかし、これに関しては後手に回ったと言えないだろうか。少なくとも、巨人やソフトバンクが独自で抗体検査を実施すると発表した時点でNPBもなんらかの対応を示した方が良かったように思う。それをしなかったことで、「独自」の「やらなくてもいい検査」を行った巨人が対応について非難を受けた面があることは否めない。何かを隠そうとしたわけではなく、対策の一歩先をいった所が非難されてしまうと今後真っ当な対応が望まれなくなってしまうのではないかという懸念もある。

 だからこそ、これからはNPBに旗手となって対策の先導をすればこうした事態は防げると思う。今後このような事態はさらに増えてくるだろう。その時にNPBがどう振る舞うか。いち野球ファンとして注視をしていきたいと思う。

 

やむなき決断。

プロ野球の開幕日決まる

 昨日、5月25日にプロ野球の開幕日が6月19日に正式決定したと発表された。これについての感想は前々回僕がブログに書いたので今回は深く話さないが、よく6月開幕ができたなぁと素直に思う。これもひとえに各球団が絶対感染者を出してはいけないという制約を受けつつも、いつ開幕してもいいようにコンディションを整えなければならないという非常に難しい課題を各球団がこなした結果であろう。この点に関しては贔屓チームに関わらず拍手が送られるべきであろう。

 ところで、開幕日が決定したことでにわかにある議論が持ち上がった。それは、本当に甲子園は開催不能なのかである(筆者注:もちろんこれは甲子園に限った話ではないけれど、僕は高校野球以外の高校スポーツに関しては詳しくないので甲子園にかぎらさせて頂きます)。

 

 

  上記のツイートは要するに、「なぜプロ野球は再開するのに高校野球は中止になるのかということ」だろう。こういった意見について皆様はどう思うだろうか。僕は夏の甲子園開催中止は仕方がないことだと思っている。

高校野球は特別扱い?

 なぜ仕方がないと僕が思うかについて述べる前に、高校野球についてよく散見される意見について触れさせて欲しい。その意見とは「なぜ高校野球だけが特別扱いをされているのか」というものだ。

  確かに高校野球は注目度が高い。例えば、甲子園の大会期間中はプレーボールからゲームセットまで毎日毎試合NHKが全国中継をしていたり、毎晩熱闘甲子園テレビ朝日で30分程度の特集番組が組まれていたりしている点が挙げられるだろう。日本で野球と双璧をなすとも言われるサッカーでさえ、高校サッカーになると地上波では開幕戦と決勝戦以外はダイジェストでの放映となっている点を考えてもかなり異例の待遇だろう。その他にも甲子園は部活動の一環にも関わらず入場料(これは地区予選でも取っている)を取ったり国体ではなく甲子園が最高の舞台になっている点からも注目度の高さは窺えるかもしれない。

 そうした状況下では「なぜ高校野球だけが特別扱いされているのか」という疑問は多くの人が疑問に思うのも当然の事なのかもしれない。今回のコロナ禍においてもインターハイの中止と高校野球の開催中止の時期が異なった事でそうした声は大きくなっていた様に思う。

 

 もちろん僕だって、高野連を手放しで認めているかといえばそうではない。少し前までは炎天下の中で水分補給の時間すら取らずに試合を続行させていた(これは改善されつつある)り、いまだに球数制限の甘さについては批判をされたりしている。中でも僕が本当に許せなかったのは東日本大震災の発災からわずか12日後に当初のスケジュール通りにセンバツを開催した事だ。僕は当時中3で卒業式を終えたばかりだったが、当時球児の頑張りで日本を元気に的なスローガンが踊っていたがいくらなんでもそんな重いものを背負わされても困るよなぁと思った記憶がある。

 あの出来事は僕が根本的に高野連を信用できなくなるのには十分すぎるものであった。

 

 しかし、「高校野球だけがなぜ特別扱いされているのか」と言われているのにも少なからずの違和感を覚えている。まず、批判をする前に知っておいて頂きたいのはインターハイを運営する団体と高校野球を運営する団体が異なっているという事である。前者は「公益財団法人全国高等学校体育連盟(通称高体連)」、後者は「公益財団法人日本高等学校野球連盟(通称高野連)」である(どうして団体が別れたのかについては本旨から外れるので気になる人は各自で調べてください)。

 運営元が違えば大会についての方針もプロモーションの仕方も変わって当然だし開催について判断が異なっても当然ではないだろうか。つまり、「なんで高校野球だけが特別扱いされているのか」と問われても「そりゃ運営している団体が違うんだから当然でしょう」としか言いようがないわけである。例えば「他の高校生だって部活動ができないんだから我慢しろ」と言ってしまうのは単なる同調圧力なのではないだろうか。批判をするならば、高校野球をやるとどういう弊害が出てきてどういうリスクがあるのかをしっかりと明示すべきだった様に思う(もちろんしっかりとその点を踏まえて批判をされている方も大勢いたがそうでない人もかなり多かった)。

 

 

センバツ中止を考える

 だいぶ話が逸れた気がするが、本題に戻ろう。夏の高校野球中止についてだ。

 そもそも僕は以前、自分のYouTubeチャンネルでセンバツ中止については反対の意見を表明していた。

youtu.be

 センバツ中止に反対するのであれば夏の甲子園中止も反対しなければ筋が通らないでは無いか。そう思う方も多いかもしれない。

 だが、大前提として理解をしてもらいたいのはセンバツ甲子園は「出場校が決まっていた」のだ。だから例えば無観客にして試合前は必ず検温をするとか、試合後の整列での握手は禁止するとか、対策はいくらでも立てることができただろう。それに、当時はまだ緊急事態宣言も発令されていなかったのだ。どうにかしてできることはなかったものか。そう思ったから、センバツ中止には反対の意を表明していた。

 

夏の高校野球中止を考える

 翻って夏の高校野球である。これに関しては前述の様に仕方がないことだと僕は考えている。それはなぜか。「どう考えてもやれるビジョンが思い浮かばない」のである。 

 高校野球はあくまでも「部活」であることを忘れてはならない。こんなことをいうとお堅い教育者の様になってしまい本意ではないが実際問題としてこの春からの一斉休校によってどの学校も大幅に授業進度に遅れが生じている。単純に考えれば4月上旬から今まで約2ヶ月の遅れが生じているわけだ。学校教育過程を年度末までに終わらせようとするならば夏休みの返上も当然視野に入ってくる。そんな中で高校野球の地区予選を一回戦からできるとは到底思えないのだ。

 これを見て欲しい。これは激戦区・神奈川県の2019年のトーナメント表だ。

https://hiyosi.net/wp-content/uploads/2019/06/p190610p006.jpg

 見て分かる様に毎日の様に試合がある。通常このくらいの時期ならば夏休みに入るので、勝ち進んでも(そして甲子園に行っても)他の生徒と授業進度に大きな差が生じることはない。しかし、今回はその夏休みが返上される可能性がかなり高い確率であるのだ。それでも通常開催をする、と言ってしまうと「部活」である高校野球が学生の本分である「授業」の軽視を公に容認することにはならないか。これは(今の高校野球の実態がどうであれ)いいわけがない。

 運営面から考えても高校野球は夏休みの時期にやるからうまく運営ができているのであって、今回の様な事態の場合この日程は球児にも教員(基本的に各球場の運営は当番校の教員と球児が行う)にも負担は大きなものとなるだろう。

 

 そして、一斉休校で学校への登校が禁じられた球児たちが地区大会が始まる7月に向けて身体が作れるのかという疑問がある。約1ヶ月後にはもう炎天下のグラウンドで野球をしなければならないのだ。高校野球をやるのは寮があって休校にも関係なく練習ができた強豪校ばかりではない。その様な高校は果たしてベストコンディションを作れるのか。そこにも疑問が生じる。

 

 一斉休校は2月の下旬からだからセンバツ中止も同様のことが言えるのではないかという反論もありそうだが、センバツの場合は「春休み直前という時期」だったことと「既に出場校が確定していた」という二点を踏まえればセンバツ中止と夏の高校野球中止は別のものだという考えになるのではないだろうか。

 

代替案の検討

 一方で各自治体などから代替案としての地方大会の開催が検討されているという報道もある。これに関してはやらない理由はないだろう。例えば、当初予定をしていた甲子園閉幕までの土曜日、日曜日を使えば学業への大幅な影響はなく、そしてまた、日程的余裕があれば球児の身体への負担もそう大きくはならずに開催できるだろう。

 恐らくそこが現実的な落としどころではないだろうか。付け加えるならば仮に都道府県大会を開いたとしてもそれは(多少の越境はあれど)県を跨がない移動となるので感染リスクを気にする人々の批判も封じ込めるのではないだろうか。ならば個人的には無観客ではなく、観客も入れて欲しいと思う。

 

 今はやれなくなってしまった甲子園の中止を批判するよりもどうすれば球児たちが3年間やってきたことを出せる場所を用意できるかを考えるべきではないだろうか(書いていて思ったけど先に引用した上原浩治氏のツイートはそういう意図もあったのだろう)。 

 散々夏の高校野球の中止は仕方がないとは言っているものの、元高校球児として、今の球児たちの気持ちが少しでも晴れる様な舞台が設定されることを願っている。

 

 

夏の高校野球中止で僕が考えたこと、伝えたいこと。

変わらないこと

 少し昔話ー僕にとってはもうこれが「昔話」となるのが軽い驚きなのだけれどーをしようと思う。僕の高校時代の話だ。

 僕が高校生だった2011年から2014年というのは丁度ガラケーからスマホへの移行期ともいうべき時でまだTwitterよりもmixiとかモバゲーとかが覇権を握っていたし、LINEだってまだキャリアメールにとって変わるか変わらないかくらいの時期だったー余談だけどYUIの「CHE.R.RY」なんてガラケー世代のピンポイントにしか通じない曲ですよね。あの曲の気持ちが分からない今の子たちはある種かわいそうではあるなと思います(老害)ー。

 ガラケー時代の感覚なんて今の高校生に説明したところで伝わらないのだろう。丁度僕が携帯なしで待ち合わせをしていた感覚にピンと来ないのと同じように。でも、例えば思春期を迎えて初めての恋をした時の気持ちーその結果がどうであれーだったり、クラスで一致団結をして何かをしたー文化祭や球技大会なんかがいい例だと思うー後の充実感だったり、部活だったり。これらの感じ方は、程度の軽重はあっても世代を超えて普遍的なものなんじゃないかと思っている。

 今あげた例は高校時代を通り過ぎてきた僕にとってもすごく大切な思い出として残っているが、高校時代を振り返って一番思い出に残っていることはなんだと問われたらそれは部活だった。

黒歴史のち思い出

 1打数0安打。これが僕の恐らく東京都の高野連に残されている唯一の公式記録である。この1打数も代打での出場だったから出場時間に換算すれば正味1分程度が僕の高校野球人生だったーしかも都大会1回戦敗退の弱小校でこれであるーといっても過言ではないだろう。そして、まぁ僕の友人なら恐らく誰でも知っていることだけど、僕は当時ーというか今もー野球部の同期にも先輩にも後輩にもうまく馴染めなかった。だから、いわゆる部活を引退した後の繋がりはないに等しい。厳密に言えば引退後、大学に進学してから一回飲み会と顧問の退任パーティーには参加した。でもやっぱり馴染めなかった。 

 ここまで読んだ人は「これでこいつなんで真っ先に部活を思い出すんだ」と思うかもしれない。確かにこの3年間”だけ”に区切ってみれば僕の部活なんて正直やらない方がよかったのかもしれない。サードコーチャーボックスから自分のチームが最期を迎えた瞬間ーゲッツーだったーは、生涯忘れることは無いでしょうと思うくらいに脳裏に焼き付いている。

 でも、”その後”に起こったことが僕の考えを改めさせた。例えば引退後、文化祭に僕の母が来た時に顧問と会って少し話をしたらしい。その時に顧問が僕の母に「彼ーつまり僕のことだーなら、社会に出ても上手くやっていけるでしょう」という旨のことを言ったらしい。もちろん社交辞令の要素は多分に含まれていることだろう。でも、その顧問が僕の母に言ってくれた言葉は最後まで部活に馴染めていないと感じていた僕にとってはある意味で最高の褒め言葉となったしその後僕が人間関係に悩んだり進路や今後の人生を考える際にこの言葉を思い出すくらいには大切な宝物となった。

 それだけではない。浪人後に入学した明治大学では僕は当初、一旦野球から距離をおこうと思っていた。正直もうプレイヤーとして才能が開花する見込みは限りなく低いと思っていたーそういえば顧問に大学合格の報告をした時血相を変えて「野球部に入るのだけはやめておけよ」と言われた。失礼な話である(ぷんぷん)ーし、純粋に野球以外の世界も興味があったからだ。でも、縁があって六大学野球を盛り上げる団体の立ち上げに関わったり、そこの長として後にプロにいくような選手から直接話を聞く機会を得たりした。他にも野球が好きという点が一致し、よく一緒に野球を見にいくようになった友人もできたし、僕が野球好きということを知って好意でチケットをくれる人まで現れた。気付いたら野球がメインのブログもYouTubeも始めていた。

 一度は野球から離れようとしたが、そうしたらなぜか野球の方から僕に歩み寄ってきてくれたような不思議な感覚が僕にはある。でも多分それは高校まで野球をやってきたことが大きな要因なんだと思う。

 

 よく、人が何かをする時はその人に対する「信用」が一番大事だと言われる。信用がなければその人が何をやったところでついていかないし、何を言っても聞き入れられない。丁度、恣意的な運用をしまくっていた人が恣意的な人事をしないと言ったところで多くの人から信用されないのと同じように。

 その点において、僕が高校まで野球をやっていたという事実は割りに人からーこと野球に関してー信用を買うのに大きな役割を果たしていると思う。高校時代は野球部に所属していたという事実が、ー実態はどうであれー「あぁ、この人はしんどいイメージがある高校野球を3年もやるくらいには野球が好きなんだな」と思わせるのだ。言い換えるならば高校野球をやっているという事実が野球好きという事実を担保すると言ったところだろうか。

 まさか自分が高校野球を引退したときはこういう経験や思いができるなんてまるで考えてもいなかった。でも、繰り返しになるがこういう風になったのも高校野球をやっていたからこそなのだ。高校野球をやらないで今の友人関係や今までしてきた経験ができたかどうかというのは非常に怪しいと思う。つまり、今の僕を基礎付けているのは紛れもなく高校野球なのだ。

 だからこそ僕も高校時代一番思い出に残っているのは高校野球だと思えるのだ。思い出は後から形作られることもある。

 

夏の高校野球中止に思うこと

 さて、僕がこうも長々と自分語りをしたのはちゃんと理由がある。今日、2020年05月20日夏の高校野球の中止が発表された。僕は最初にも書いたが部活で感じることは普遍的だと思っているから、球児たちの気持ちが多少なりとも想像や共感をすることが出来る。

 もちろんコロナウイルスは仕方ないと割り切れる球児もいるだろう。しかし、中には自分が三年間をかけて費やしてきたことが突然終わりを迎えたことでなんのための高校野球だったのだろうと思う人もいるかもしれない。自分の高校野球は無駄だったんじゃないかと思う人もいるだろう。

 だけどこれだけは、はっきり言える。野球が上手かろうと下手だろうと3年間費やした時間は決して無駄なんかじゃない。むしろ、歳を重ねる毎にやっていて良かったなと思えるようになってくる。1打数0安打で高校野球を終えて野球から距離をおこうと思った人間が野球を通じてまた色々な経験ができて高校野球が一番の思い出と言えるようになったように

 もちろん、ここから先野球以上にもっとのめり込める”何か”を見つける人もいると思う。それも素晴らしい事だ。言ってしまえば”たかが”野球である。野球だけが世界の全てなわけではない。それでも、3年間ー高校生でいえば人生の約1/6であるー野球に時間を費やした。これは紛れもない客観的事実である。その事実は今後君たちの中で自信に変わっていき、そしてその自信はまた新たに何かをしようとする時のエンジンとなって君たちを見た事もないような世界へと連れて行ってくれるだろう。

 

終わりに

 僕にも18歳だった事があるから分かるのだがここから先、世界はもっともっと広がっていく。18歳の頃には想像も出来なかったくらいの楽しいことやいいことも経験できるし、反対に想像も出来ないくらい落ち込むこともあるー僕自身数ヶ月前にまさに落ち込みのどん底に落ちていたわけであるがそれはある程度落ち着いたらまたブログに書こうと思うー。でも、意外とそういう時ー特に落ち込んだ時ーに支えになってくれるのは3年間高校野球をやってきたということであった。

 僕自身がそういう経験をしたので、今回の事で高校野球をやってきた自分まで否定して欲しくない。そんな思いで今回はブログを書きました。

 

 

 

野球を待ちながら

奪われた日常

 ー投げた、打った、走った、捕った。

 ひとプレー毎にある者は歓喜の声をあげ、またある者はため息を漏らす。ある者は好プレーを噛み締めるように友人と語り合う。またある者は不甲斐ないプレーに対し辛辣な言葉をぶつける。ある者は贔屓のチームの得点に気を良くし、周りの席の見ず知らずの人たちとハイタッチをする。またある者は悔しさを押し殺すかのように近くを通った売り子に、ぼったくり価格のビールを要求する。

 

 いわゆる”ニッポンの野球風景”が、かつてこんなにも遠のいたことがあっただろうか。いつもならこの時期は開幕から一ヶ月が経過し、プロ野球がますます盛り上がってくる時期である。だが、世界がそれを許さない。

 

 いうまでもないが新型コロナウイルスの影響(もはや”影響”なんて言葉は生温いかもしれない)である。恐らくコロナ以降の世界は日常生活に戻ることができるようになるまでに時間がかかることになるだろう。丁度、東日本大震災以降まだ日常の生活に戻れていない方々がまだいるように。

 

 野球界だって例外ではない。現にセンバツは中止になったし、プロ野球も開幕日が何度も延期になった。交流戦の中止も発表された。このまま開幕を迎えられるのだろうか、そんな気持ちになったファンも数多くいることだろう。僕もその一人だ。

 反面、この対応によっては僕はプロ野球を嫌いになってしまうかもしれないなとも思っていた。なぜならNPBにはある”前科”があったからだ。

 

世間の反感を買った東日本大震災の対応

 2011年3月11日14時46分。日本が変わった瞬間である。東日本大震災が起こり東北を中心とする東日本には甚大な被害が出た。

 プロ野球だって例外ではなかった。仙台を本拠地とする楽天は勿論のこと、海沿いに本拠地を置くロッテだって球場の駐車場で液状化現象が起こり、まずそこの修復をしなければいけない状態になっていた。それに、東京電力福島原発の問題もある。計画停電の実施など電力供給不足が深刻になっている中で煌々と照明をつけ野球なんてできるのか、というまっとうな声もあった。そんな状態で(開幕予定日の)3月25日を迎えられる訳がない。パリーグは早々に開幕延期を要求したし、世間的にもこの要求は至極まっとうに受け入れられていた。

 ところが、これに意を唱えたところがある。被害が比較的少なかったセリーグ各球団である。

「たとえお客さんがたくさん来なくても、野球人として責務を果たしたい」(巨人・清武代表)

「これ以上、経済活動を停滞させてはいけない」(阪神・沼沢本部長)

 巨人、広島、阪神、中日などの球団関係者は、そんな言葉をもって通常開幕を訴えた。

引用元:https://number.bunshun.jp/articles/-/98322

(筆者注:肩書きは当時のもの)

  最もらしい理屈ではあるがファンからの反発は凄かった。要するに「今そんなこと言っている場合じゃない」ということだ。実際僕も、震災で亡くなった方が毎日報道されており避難生活を余儀なくされている方、原発事故で明日の生活さえどうなるかわからない方、津波で大切なものを失われた方の報道を毎日のように目にしていたから、この言い分はだいぶ呑気なように思えた。そんな声は現場からも上がり、当時の選手会会長の新井貴浩プロ野球史上二度目のストをチラつかせたことで結局はセパ共に4月12日の開幕で落ち着いたがこれは野球ファンから見ててもNPBの対応の不味さが際立っていた。

 

コロナ禍での対応

 翻って今回のプロ野球の対応はどうだったか。個人的にはNPBも球団も選手も素晴らしかったと思う。

 まずはNPB。いち早く2月26日の政府からの2週間の自粛要請に応え残りのオープン戦を全て無観客とすることを公表し、その後はJリーグ、医師団と提携し開催の道を模索。その後は開幕延期や交流戦の中止も発表した。その都度その都度最善手を打っていたと思う。

 そして球団。各球団コロナが猛威をふるう前から外出禁止令を出しており基本的には野球場と家ないしは宿泊施設の往復だけになるよう措置をとっていた(阪神は除く)。

 そして緊急事態宣言が発令されると各球団自主練への切り替えや完全に球場を封鎖するなどクラスターが発生しないように注意を払っていた。その結果としてプロ野球の現役選手及びスタッフの感染は4名(阪神の3選手+巨人の嘱託の球団職員)に抑えられたのであろう。

 「プロ野球(の感染対策)は皆さんが思っている以上によくやっています」こう語るのはプロ野球の感染対策に関するアドバイスを送っている医師団のうちの一人だ(引用元:Number1002号コラム内「消えた球音」より)。これは身びいきでも何でもなく専門家としての正当な評価なのだろう。

 そして選手。選手会は初の緊急事態宣言が発令された翌日の4月8日にはクラウドファンディングを通じて医療機関等への寄付を募ることを発表。4月24日には巨人の原監督、阿部二軍監督、菅野智之坂本勇人丸佳浩が東京都にそれぞれ一千万円を寄付することを発表。それ以外にも各球団の選手やOBが様々な寄付に動いている。

 また、この時期だからこそファンと交流を深めている。巨人のインスタライブは同時接続は1万人を超えることが当たり前になっているし、ヤクルトもファンクラブキッズ会員とzoomを通じて交流をしている。オリックスもインスタライブを熱心にやっていたりDeNA山崎康晃が選手にインタビューーをしたものを公開しているなど選手、球団のファンサービスは枚挙にいとまがない。

 本当に震災の頃と比べるとNPB、球団、選手が同じ方向を向きつつあると思う。

 

見えた道筋

 今日、2020年5月9日日刊スポーツがプロ野球開幕日に関する報道を出した。

www.nikkansports.com

 それによれば開幕日は6月19日となるらしい。これが現実味を帯びるためには最低でも3週間前(原監督はインタビューで3週間あれば戦える体制ができると言っていた)欲を言えば一ヶ月前からチームの全体練習を開始し、実戦練習までこなせることが理想だろう。

 ーあの(震災)時は一日一日ちょっとでも前進をしていたが、今回はなかなか先が見えない。(「DAZNダイアリートーク 巨人 原辰徳監督の今」より)

原辰徳は言った。しかし、やっと、わずかではあるが、先が見えた。もちろんこれは日本においてコロナウイルスの感染者が減り、医療崩壊の危険性が低くなってきて初めて実現ができる事だし、当然最初はクラスター発生の防止のために無観客で開催となるだろう。でも、いつかはまた我々が球場に行き生で野球を観られる、そんな日が来るはずだ。

ー「でも、まだ時期があるから。(事態が)収束して、ファンとともに戦えるんではないかと、まだ望みは捨てていません。やっぱりファンの人たちとともにまさに『球春(到来)』と。もう春という言葉が使えるかどうかはともかく、やっぱりファンの人たちと開幕を迎えたい。その一心だね」(同じくDAZNダイアリートークより)

 ”ニッポンの野球風景”を心待ちにしているのは何もファンだけじゃないはずだ。そんな、誰もが待ち望む野球を待ちながら、僕は今日も家にいよう。

 

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僕と、握手

日本一アンチの多い球場 

 なぜか何かにつけて文句を言われる球場がある。例えば、青空の下で野球が観られないなんて野球の魅力が大きく損なわれる。例えば、他の球場と比べて外野の膨らみが小さいせいで、ホームランが出やすい。例えば、さては空調でホームランにしているなオメー。

 最後のは言いがかりのような気がしないでもないが、とにかく、この球場に関しては褒められるよりも文句を言われる方が多いのではないだろうか。

 

 でも、この球場は日本一働き者の球場でもある。ある時はセリーグ球団のホームチームとして年間約63試合を行い、またある時はパリーグ球団のセカンドホーム球場として10数試合をおこない、またある時はパリーグ球団本社社員の福利厚生のために試合が行われ、さらには国際試合が行われる場所として、毎年夏には社会人野球最高峰の舞台として、その球場は使われない日が珍しいくらいに働いている。

 

 もうここまで言えばほとんどの野球ファンの方はどの球場を指しているのかお分かりになったことだろう。そう、東京ドームの話だ。

 なんで東京ドームがそこまで嫌われるのだろう、と考えてみた理由の一つとして野球場らしくない、という点が挙げられるのではないだろうか。

 例えば、グラウンド。東京ドームのグラウンドはアメリカで一般的な天然芝ではなく、人工芝である。人工芝が与える身体への影響が大きいと指摘する野球解説者もいる。

しかし、人工芝が人体に与える影響を忘れてはいけない。人工芝の下に敷かれているのは固いコンクリートなのだ。足腰、ヒザへの負担を考えると天然芝のほうがはるかにいい。

(引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191206-00000003-baseballo-base&p=1

菅野智之に年俸6億5000万円をあげるくらいなら東京ドームを天然芝にすべきだ/廣岡達朗コラム より)

 そして、東京ドームは大人から子供までが楽しめるようないわゆるボールパークではない、とする意見もある。

 例えばマツダzoomzoomスタジアムは誰でも楽しめるような作りになっているらしい(実際に行った事がないので分からない。行った事がある方がいれば、感想をお聞かせ願いたい)し、神宮球場も建て替えた後はボールパーク化を目指すようだ(神宮球場建て替えに関しては以前ブログ「最高の球場」というタイトルで書いたので、よかったら見てね)。

 

本当にそう言える?

 こうした主張は一理あるように思える。でも、本当にそれは正しいのだろうか。

 まずは人工芝の問題。日本の球場のほとんどが人工芝になっている(というよりも、せざるを得ない)理由として、球場が単に野球のためだけに使われる訳ではない事が挙げられるだろう。日本はアメリカと異なり、国土が狭いが故に収容人数が多い球場はライブなどで重宝されがちだ。また、球場使用料の観点からも球場が使われない日にライブを行わせるのは合理的と言えるだろう。

 しかし、実際にライブに行った事がある方ならお分かりになると思うが、ライブでは場内に様々な機材や人が入る。その結果、天然芝だった場合には取り返しがつかないくらいの痛みかたをしてしまうのだ。実際に2016年、水樹奈々阪神甲子園球場でライブを行った後の芝の痛みかたは尋常ではなかった。こうなってしまうと復旧に時間をかけてしまうこととなり、最悪の場合野球どころではなくなってしまう。人工芝にした場合、この種のリスクが天然芝とは比べ物にならないほど軽くなる。

 そしてもう一点、人工芝が与える身体への負担を考えてみよう。かつて松井秀喜は巨人時代に左膝を痛め、それが古傷となり、結果としてそれが選手寿命を縮めたとも言われている。

 その点を考えると、確かにこの指摘は的を得ているように思える。しかし、当時の東京ドームはコンクリートの上に絨毯を敷き、その上で野球をやっていたのだ。だが、今は違う。今の東京ドームは「フィールドターフ」が採用されており、限りなく天然芝に近い芝となっている。

fieldturf.jp

 実際に僕も数回東京ドームのグラウンドに足を踏み入れた事があるのだが、芝生のクッション性が高く思い切り走ることに関して身体への負担は少ないように感じた。

 また、東京ドームは数年に一度、芝の張り替えを行っており芝の劣化も極力最小限に抑えられていると言えるだろう。

  人工芝に批判的な人でも、以上の理由を考えれば東京ドームの人工芝は許せるのではないだろうか。

 

ボールパークってなんだ

 次に、ボールパーク問題について考えてみる。そもそも、ボールパークとはなんだろう。僕なりに定義づけるのであれば、それは「野球をメインとしつつも、老若男女を問わず1日中そこにいて楽しめる場所」となる。

 正直言って僕はこれは難しいと思っていた。東京ドームは開場してから30年以上経過しており、建て替えでもしなければそんなことはできないと考えていたからだ。

 だがそれは、違った。東京ドームは既にボールパークであったのだ。

 どういうことか。まずはこの記事を読んでいただきたい。プレミア12の際に来日していた韓国紙の記事である。

 

sportsseoulweb.jp

  この記事の中でも、僕は

左腕エースであるヤン・ヒョンジョンは、違った視点で考えを述べた。東京ドームの感想を聞かれ「とても良かった」と答えた彼は、「韓国にもこのような環境を備えた球場があれば…。韓国には名のごとく野球場しかない。東京ドームは周辺にショッピングモールや遊園地など、観衆が楽しめる要素が多く揃っている。このような環境なら、ファンもより多く球場を訪れるだろう」と語った。

 という部分が特に印象的だった。そう、東京ドームは東京ドームシティの一部なのだ。東京ドームシティには遊園地もあるし、オシャレ料理屋さんもある。例えば子連れならシアターGロッソでヒーローショーを見た後で遊園地で時間を潰し、18:00から野球を観る、恋人同士でも似たような事ができるだろう。

 そして東京ドームの中も、色々な食べ物や飲み物が売られている。東京ドーム価格で全てのものが割高になっている感もあるが、それも含めて楽しんでいる人も多い。

こうなってくると先に僕が定義付けた「ボールパーク」の要素を東京ドームは満たしていると言えるのではないだろうか。 

 確かに、マツダスタジアムのようなアメリカナイズされたボールパークも魅力的だ。だが、一方で(狙っていたかどうかは知らないが)東京ドームのようなボールパークもそんなに毛嫌いするほど悪いもんではないのではなかろうか。

 

 また、屋内であるが故のメリットもある。それは滅多なこと(台風直撃等)が起こらない限り中止にならないという点だ。国際試合など絶対に中止にしたくない試合を東京ドームで行えば、開催はほぼ確実に見込める。

 ファン目線からすれば例えば夏場のデーゲームが可能になる点はありがたいだろう。夏休みは野球少年などが球場に多く足を運ぶので、そのような子たちが電車の時間などを気にせず存分に野球に集中できる環境を作るのであれば、デーゲーム開催の方がメリットは大きいだろう。だが、もし、仮に夏場の神宮球場でデーゲームをやろうものなら十中八九確実に救急車のお世話になる人(燕)も出てくるだろう。翻って東京ドームならばそう言った事態になる可能性は極めて低い。いつ、どんな時でも変わらない条件で野球を観る事が出来る、というのはファンにとって意外と重要なことではないか、と僕は思う。(真夏の夜に神宮球場で飲みながら観る野球は最高です。念の為)

 

 読んでいただければお分かりになったかと思うが、東京ドームは冒頭に掲げた野球場らしくない、という批判をクリアしている。最近は東京ドームも建て替えをしようなどの意見もよく見かけるけど、日本最古のドーム球場として、そして(恐らく)日本最初のボールパークとしてバージョンアップを重ねながら息の長い球場になって欲しいなぁ、思う。

 

【追記】野球ファンの野球ファンによる野球ファンのためのチャンネル始めました。よろしければ見てやってください。

 

youtu.be